それだけの完成度の高さは当然でもあるだろう。いまBMWは、クルマの乗り味の基礎を決定づけるプラットフォームの整理をしており、次世代に向けて2種類で勝負していく戦略。1つはフロントにエンジンを搭載してリアタイヤを駆動するFR系プラットフォーム。もう1つは、BMWグループブランドである「MINI」とも共有するフロントにエンジンを積み前輪を駆動させるFF系プラットフォームだ。
各種モデルを効率よく造れる開発生産体制
それら基礎プラットフォーム構造を基軸に、伸ばしたりしてさまざまな大きさのクルマを造り、その上にはセダンやワゴンさらにはSUV型などの多様な形状のボディデザインを組み合わせて各種モデルを効率よく造れる開発生産体制を整えている。
言うなれば、FR系プラットフォームを使う、ベースラインナップでいう3シリーズ以上と、XファミリーでのX3以上は、同じプラットフォームを使っている。さすがにフラッグシップの7シリーズだけは、ボディにカーボンを使うなどほかと差別化を図り、乗り味にも一層の深みを出しているが、逆をいえば昨年登場したX3も、そしてそのX3と基本部位のほとんどを共有する今回のX4もまた、兄貴分である2年前にフルモデルチェンジを果たした5シリーズと乗り味が似ているのも当然ということだ。
今回のX4もまたオプション設定の電子制御サスペンションが装着されていた効果もあり、走り出した瞬間から5シリーズレベルの無駄な走行振動が抑えられたしっとり感や滑らかにタイヤが転がる感じなど、高級車としての素性の良い乗り味がある。目を閉じて乗せられたら5シリーズと勘違いするほど快適。正確にはリアタイヤの発生する音を消音するセダンのような効果はなく、若干タイヤが発生するロードノイズはあったが、それを除いたら5シリーズと表現してもいい完成度である。
ちなみに今回のX4のフルモデルチェンジは、前回のフルモデルチェンジからたった4年しか経っていない異例の早さで行われた。背景には、激戦になっているミドル級SUV市場にてシェアを拡大するべく商品力強化を急いだこともあるが、さらには工場ラインを次世代プラットフォームに切り替えをしていくなかで、X4もこのタイミングで変更するのが効率的だという台所事情もうかがい知れる。
これでまだ旧型プラットフォームを使うFR系モデルは3シリーズだけ。これを聞くと買い控えをする人も出そうだが、次世代プラットフォームを使うとX3のように間違いなく値段は高くなり進化してくるので、今回のX4もそこを不安要素に挙げさせてもらっているが、今の3シリーズも魅力的だ。
話がかなり脱線したが、X3とその多くを共有するX4だが、BMWのプレゼンテーションではこのX4はクーペであり、X3とは乗り味や運動性能が大きく異なることが強調された。衝撃的なひと言が開発陣から発せられた。「BMW独自の4輪駆動システム『xDrive』はFRを超えた!」と言うのだ。
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