詳しく聞くと、そもそもxDrive開発当初からの目的が、大きいクルマをスポーツFR車のように走らせることだという。それがいま実現できたので体験してもらうためにも、サーキットのようなテストコースがあるスパータンバーグで試乗会を開催したという。
そもそもxDriveはハンドリングの素直さや気持ちよさを求めて後輪を主軸に駆動させるコンセプトの4輪駆動システム。もちろん前輪も駆動をするのだが、イメージとして後輪に対して若干控えめで、時として強烈に駆動するがそれは走破力が必要とされたときのこと。実際サーキットを試乗しても、まったく怖さがないばかりか、楽しくて仕方がない。
コーナーへの進入では、ブレーキをかけながらハンドルを切るような強引な高負荷走行でも、ハンドルからの手応えはしっかりしており、微躁舵にも車体全体が的確に反応するし、安定と安心感に優れながらの自由自在感を得られる。しかもコーナー出口では、強引にアクセルを踏んでも前輪が車体を力強く直線に向けてコーナーから引っ張り出すように駆動し、同時に後輪は内輪よりも外輪を強く駆動させるベクタリング機構を発生させて旋回“させながら”車体をコーナーから押し出してくれる。
ドリフト走行も運転技術さえあればX4では自由自在
その走りは豪快かつ気持ちよく、FR車ではできないと直感するとともに、先日レポートしたハイパフォーマンスセダンであるM5(BMW「M5」が最新進化で見せた驚愕の走行性能=5月21日配信)がなぜFRをやめてxDriveを採用してきたのかも深く体感できた。
ちなみに今回は姿勢安定の電子制御をオフにしてドリフト走行まで試せるステージが用意されていたが、そんな走りも運転技術さえあればX4は自由自在であり、ここまで走りを仕上げるところに、SACとBMW自らが呼ぶプライドを感じた。何にせよドリフト含めてスポーツモデルと同等の走りを、高い運転視点から味わう世界は今まで体験したことのない未知なるもので、癖になるほど気持ちよかった。
5シリーズにも通じるプラットフォーム。FRを超えたと表現するxDrive。実はX4に込められた武器はこれだけではない。
X3に対してリアトレッドを30mm拡大して、日常でのクルマの揺れも抑えるし、カーブでの踏ん張る力も向上させていること。さらにボディにはX3以上に硬い鋼材を使い、ハードな走りにも音をあげないボディ剛性も確保してきたこと。これにより乗り味は快適かつ上質になり、スポーツカーに準ずる走行性能まで得られた。
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