社会に貢献している人ほど賃金が低い理不尽 無意味な「クソ仕事」ほど賃金が高い
タイトルも含めて、本書に”bullshit(ブルシット)”が出てくる箇所は無数であり、この単語が何回出てくるか、是非とも誰かに数えてもらいたい。多分、1000回以上は出てくるのではないだろうか?
”bullshit”は、英和辞書には、少し品良く「たわごと」とか「でたらめ」と書かれているが、直訳すれば「牛の糞」だから、日本語でもやはり「クソっ!」ということである。最近、ネットでもやたらと「クソ〜」という言葉が氾濫しているが、あれと全く同じニュアンスだと思えば良い。従って、本書のタイトルを直訳すれば、「クソな仕事」ということになるのだが、グレーバーは、具体的にはどのような仕事を”bullshit job”と考えているのだろうか。
グレーバーが”bullshit job”という言葉を思い付いたのは、カクテルパーティーで自分の仕事について話したがらない人に、一度ならず出会ったからだそうだ。グレーバーの話にはとても興味を持ってくれるのに、自分の仕事の話になると直ぐに話題を変えてしまう。そして、少し酒が入ると、「上司には内緒ですが、自分は何にもやってないようなものです」と打ち明けてくれる。
そうした人達は、往々にして会議で図表やグラフを駆使してプレゼンするような中間管理職なのだが、実際にこんな会議を望んでいる者は誰もいないし、出席したところで何かが変わる訳でもないことを、自分自身でもわきまえている。そこでグレーバーは、こうした類の仕事を”bullshit job”と呼ぶことにしたのだそうだ。
無意味な5つの仕事
彼は世の中の仕事の過半数は無意味であるとした上で、特に、次に挙げる5つの仕事は全く無意味であると結論付けている。
① ”Flunkies(太鼓持ち)” 受付係、秘書、ドアマンなど、自分が重要な人物だと思わせるために存在する仕事
② ”Goons(用心棒)” ロビイスト、企業弁護士、テレマーケター、広報など、雇い主のために相手を攻撃する仕事
③ ”Duct Tapers(落穂拾い)” 出来の悪いプログラムの修正など、そもそもあってはならない問題の手直しをする仕事
④ ”Box Tickers(社内官僚)” パフォーマンスマネジャー、社内広報誌のジャーナリスト、休暇のコーディネーターなど、内向きの仕事
⑤ ”Task Makers(仕事製造人)” 中間管理職やリーダーシップの専門家など、無駄な業務を生み出す仕事
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