「未成年お断りかき氷」が白金で売られるワケ バーの運営会社はテイクアンドギヴ・ニーズ

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「くつろげる空間づくり」という狙いが当たり、ランチの時間帯で2時間などと、滞在時間が一般に比べて長いという。最長記録として、午前11時から午後の7時まで、8時間滞在した人もいたそうだ。ゆっくりしてもらえるのはいいが、「夜はほぼ回転しない」(岡崎氏)ほどだ。

ただ、繁華街にある居酒屋などとはおのずからモデルが異なり、回転率では勝負していないのだろう。それにしては、ランチ1500~1800円、ディナー4500~5000円の客単価は安めかもしれない。それでも、予約を含めて毎日ほぼ満席なので、経営としては安定しているのだ。

頻度よりインパクトで仕掛けるウェブ戦略

このように集客が安定しているのは、ウェブ戦略のおかげもある。

BLUE POINT店長の岡崎貴幸氏(筆者撮影)

「現在の数字は、1~2年ジャブを打ち続けた結果だと思っています。2017年からSNSの配信を始めました。当時は毎日アップしていましたが、今は月に1.5本の動画配信を目標にしています。今は情報量が増えていますから、頻度よりインパクトが大事なんです」(岡崎氏)

動画の内容は季節ごとの商品開発の様子などが多い。

「かき氷は、フェイスブックでは配信直後10“いいね”がつきましたし、インスタグラムでは160でした。以前、デザートプレートに客の目の前で文字を描く“フィンガーアートサプライズ”を動画にして配信したところ、非常に反応が高く、ここ半月ほどオーダーが増えています。そのほか、テラス席ではペットもOKなので、犬の写真をアップしたところ、すぐに犬を連れたお客様が増えるなど、ウェブの反応が異常にいいんですよ」(岡崎氏)

大人のかき氷も、インパクトによる集客を狙った商品として開発されたわけだ。予想にたがわずと言うべきだが、同店ではウェブに対する反応が高い分、期待値も高いと言えるだろう。メニューのインパクトが集客を左右する大きな要素になる。反響については、今のところ、同店のメインターゲットである40代の男性からの注文が多いという。

「期間内に50食、つまり10万円の売り上げを目標にしています。ただ、目標は高めに設定していますが、実際には30食ぐらいかなとみています(笑)」(岡崎氏)

この店でのみ、そして今の時期しか味わうことのできない、こだわりの材料を使ったプレミア感あふれるかき氷。開発にまつわるストーリーも、解説好きな男性の心を引き付けそうだ。非日常感を味わいに、出掛けてみてはいかがだろうか。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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