「未成年お断りかき氷」が白金で売られるワケ バーの運営会社はテイクアンドギヴ・ニーズ

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気になっていたのが「フローズンカクテルとは違うのか」ということだったが、まったく別のものだと考えてもいいだろう。SNSにアップしたくなる見た目のインパクトや、自分でシロップをかけて食べるイベント性、パチパチはじける様子を楽しんで話題にできるハレ感は、子どもの夏のおやつである本来のかき氷に近い。

岡崎氏自身も、「フローズンカクテルはいったん頭から外して、“かき氷”の原点に戻って開発しました。飲み物と食べ物なのですみ分けもできています。ただ、かき氷を最後まで食べると氷がシャーベット状になりシロップと混ざった状態になるので、フローズンカクテルに近くなります。2段階楽しめると思っていただけると幸いです」(岡崎氏)と、フローズンカクテルとの違いを語っている。

原価が高く、材料を取り寄せる手間もかかる大人のかき氷。高価格の商品ではあるが、数人グループで1つ注文する程度なので、じゃんじゃん売れるわけでもない。それでも、販売に踏み切ったその理由はどんなところにあるのだろうか。

販売に踏み切った理由

説明するには、少し同店の歴史をさかのぼる必要がある。

「実は白金台のBLUE POINTと言えば、かつては芸能人などセレブも利用するお店として有名だったんですよ」(岡崎氏)

現在、店名はそのまま引き継いでいるが、経営は当時とは変わり、2011年からウェディング事業大手のテイクアンドギヴ・ニーズが担っている。同社はレストラン提携型のウェディング企業として1998年に設立。近年、少子化や晩婚化によりウェディング市場は縮小しているといわれるが、同社はそのなかでも、一軒家を丸ごと貸し切って挙式できることや、一顧客一担当制といった独自のシステムを強みとしており、高いシェアを誇っている。

また最近では飲食やホテル事業にも手を広げており、2016年3月にはパイの専門店「パイ ホリック」をオープン。若い女性の注目を集め、今も行列ができるほどだという。また2017年5月には、渋谷区神宮前でホテル1号店「TRUNK(HOTEL)」をスタートした。10年以内に国内10拠点のオープンを目指す。ウェディングで同社を利用するのは一生に1回だが、ホテルやレストランなら、もっと日常的に利用してもらうことで、ブランドを印象づけることができる。事業の拡大には、こうしたブランド戦略的な意味もあるという。

BLUE POINTは同社が運営する式場に隣接しており、ウェディング利用も可能。同店が位置するプラチナ通りは、ウェディングの環境としてもふさわしい、閑静でおしゃれな通りだが、繁華街ではないため、飲食店としての立地にはやや不利だ。競合のレストランも付近に多く、駅から近いほうに客をとられてしまうことも多い。そこで店の独自性を全面的に打ち出し、リピーター確保に力を入れている。

「差別化ポイントは、海外のような空間です。スタッフに外国人を起用しており、英語での対応もしています。そのせいか外国人のお客様も多く、平日のランチ時間帯は半分近くが外国人です。また産地などにこだわりのある本格的な食材を使っています」(岡崎氏)

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