なぜ工藤公康は224勝を挙げられたのか

日本シリーズ最多出場「結果を残し続ける"極意"」

「専門外」にも好奇心を持てるか

まず大きかったのは、スポーツ医学・運動生理学との出会いでした。野球選手として“中堅”に差しかかった29歳の頃、右のハムストリングを肉離れしてしまったので、メディカルチェックを受けに行ったのがきっかけです。そこで言われたことが、それまでの練習スタイルや身体を鍛えることの常識を覆しました。

「工藤くんが40歳まで現役を続けるために、これから10年、一生懸命トレーニングに励もうというのだったら、私も真剣に付き合います」とスポーツ医学の先生が意思確認しただけあって、想像を超えるトレーニングをさせられました。それまでかなり練習しているほうだったにもかかわらず、「この人、俺を殺す気じゃないのか」と、最初は恨めしく思っていたほどでした。

そこから、数多くのスポーツ医学・運動生理学に詳しい大学教授や医師の方に出会い、ピッチングの前提となる身体の仕組みを学べたことも大きかったです。

たとえば、投げるためには、大胸筋や三角筋などボールを投げるためのパワーを生む筋肉だけでなく、それらの筋肉の内側にあって関節を安定させる棘(きょく)上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋など肩の小さな筋肉や、股関節の周りにある小さな筋肉の働きが極めて大切――などを知りました。

プロ野球の世界だけにとどまらず、「外側」にも好奇心を持ち動き続ける中で、野球に必要な身体の知識(トレーニング方法や筋肉、関節の動きなど)を学び、40代になっても20代の若手選手に負けないだけの“体力”を手にすることができたこと――。これが長く現役を続けられた大きな要因だと思います。

役割を超える「何か」ができるか

また、ダイエーに移籍してから担った「強いチームへと引っ張ること」「チームの後輩を育てること」も自ら考え、自ら動きました。強いチームにすること、後輩を育てるために必要なこと――。それは「勝つ」こです。

ピッチャーとして「勝つためには何をすべきか」について考え出した答えは、「打たれないために、配球について自ら学ぶ」ことでした。配球は本来、キャッチャーの仕事です。西武時代は、名捕手として知られる伊東勤さん(現・千葉ロッテマリーンズ監督)がいたため、配球にまで深く考えたことはなかったにもかかわらず、です。

私は、西武時代を含めた「これまでの自分の配球をすべて振り返る」ことから始めました。

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