なぜ工藤公康は224勝を挙げられたのか

日本シリーズ最多出場「結果を残し続ける"極意"」

ダイエー移籍1年目を終えたシーズンオフ、過去の投球データを徹底的に洗い直しました。シーズンオフの2カ月間、ほぼ毎日、トレーニングの時間以外は、朝から晩まで西武時代に投げている試合、ダイエーの1年目の試合のビデオをすべて見直しました。

カウント別の配球はどうだったのか。決定打を許したときの決め球は何だったのか。

こうしたことを1球1球確認していき、私の経験値も踏まえて「工藤流データベース」を構築していきました。

それにより、たとえばスライダーを狙っている右打者が、狙いに反して直球が来ると、1塁ベンチの上空方向へのファウルになるケースが多い。アウトコースを待っているとき、内角に投げられると普段よりも派手によけるものですが、そのよけ方の癖はバッターによって微妙に違う。といった、ほんの小さな動きや反応で、打者の狙い球やどこに打とうとしているのかが、わかるようになりました。

なぜ、ひとりでキャッチャーの役割である「配球」を学んだのか――。その理由は、シンプルです。「自分が理解しないことは人に教えられない」からです。

それから私は、当時、ドラフト1位で入団し期待されたキャッチャーだった城島健司氏と配球を考えていきました。城島氏はその後、米大リーグのシアトル・マリナーズ、阪神タイガース、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で活躍した、日本を代表するキャッチャーに成長しましたが、当時は「打撃はいいが、キャッチャーには向いていない」という声もありました。

だから、「バッターが何を狙っているのか」について考えさせ、配球は城島氏に考えさせました。打たれたときには、工藤流データベースを引き合いに出しながら、「なんでこの球を投げたんだ」と聞き続けた。そこでは正しい答えを求めるのではなく、「配球の論理が妥当かを、しっかり考えたかどうか」を問い続けました。

自ら学び、自分でどうにかできるか

私は、「自分でどうにかする」のがプロの世界だと思っていますし、現役を引退して解説者になった今でも、同じように考えています。プロの練習をすればうまくなる、プロのコーチに指導してもらえばよくなると思ったことは一度もありません。プロは「自ら学ぶ」ことが重要で、自分がわからないことを聞くことが大事なのです。プロの世界では、いくら新しい場所であれ、「私は何をすればいいのでしょうか」ではダメなのです。だからこそ、自分で考えて、自分で動いて、必要なことを判断する。その繰り返しが、長く結果を出し続けることにつながると思っています。

 「自分でどうにかする」のがプロの世界。
 考えて、動いて、必要なことを判断する。
 その繰り返しが、結果を出し続けることにつながる。

 

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