3万種類も!知られざる「コネクター」の世界 新用途が拡大、2023年までに市場倍増予想も

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自動車用のコネクターにはさまざまな種類がある(写真:日本航空電子工業)

コネクターの小型化の流れはスマホ向けに限らず、自動車向けでも求められる。「EVの走行距離を伸ばすには車体を軽くすることが必要で、コネクターもより小さく軽くなることが求められる」(ヒロセ電機の須﨑氏)。

ただ、小型化していくにつれ技術的ハードルは高くなる。さらにそれぞれの製品に合わせてコネクターをカスタマイズする必要もあり、研究費や開発費がかさむ。

中国・韓国メーカーの3~4年先を行く

コネクターメーカーにとって難しいのは、多品種生産に対応しなければならないことだ。スマホではメーカーが毎年新モデルを発表し、スマホ向けのコネクターの場合、売価が1つ当たり10円弱の場合もあり、単価は必ずしも高いとはいえない。実際、日本航空電子工業は、「月に数億個規模でコネクターを生産している」。

別のコネクターメーカーの社員は「『豊作貧乏』みたいなところはある」と明かす。特にスマホの場合、製品サイクルが短く、つねに開発費が先行しがちだ。各社がこぞって自動車向けに力を入れるのは、自動車の場合製品サイクルが長く、「安定して投資を回収しやすい」(同)面があることも関係している。

ただ、顧客に鍛えられた開発力は強みにもなる。コネクターメーカーは世界に約750社あると言われており、中国や台湾にも世界的なメーカーはある。が、日本のコネクターメーカー関係者は「10年前までは技術面において中国などの追い上げを心配していたが、今はまったく不安視していない」と話す。

「スマホや自動車など新しいニーズができるとそれに合わせて技術力も上げることができ、技術力としては中国や韓国メーカーの3~4年先をいくことができている」(前の関係者)。日本航空電子工業の田丁三郎経営企画部長代理は「独自に新しいコネクターの設計をできるノウハウがないといけない。なにか特定の製造装置を導入すれば生産できるわけではない」と自信を示す。

あらゆるモノがネットにつながるIoTによってモノの電装化が進み、新たなコネクターが使われる場面は増えていくだろう。需要増に対応しつつ、いかに収益性を維持するか。まずは自動車分野での取り組みが焦点となりそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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