3万種類も!知られざる「コネクター」の世界 新用途が拡大、2023年までに市場倍増予想も

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東京都にある日本航空電子工業昭島事業所。その一角にある総合評価試験棟では、100台以上の装置によってコネクターの耐久試験が行われている。箱型の複合環境試験装置は、-100℃台から200℃弱までの温度変化、乾燥や多湿という湿度の変化にコネクターが耐えられるかを試すためのもの。ほかにも振動や衝撃を受けてもコネクターに異常が生じないかを確認するための装置もある。

昭島事業所内の総合評価試験棟の内部。箱形の環境試験装置がズラリと並ぶ(記者撮影)

同社はこれまで、こうした試験設備を各地の生産拠点に設置していたが、2016年に新設した昭島事業所の試験棟に集約した。「コネクターの需要増で効率的に製品の信頼性を確認できる体制を構築するため」(日本航空電子工業の谷口智伯企画シニアマネージャー)だ。

自動車向けの品質水準をクリアする

特に自動車向けコネクターの増加に対応したことが大きいという。「自動車向けに使用されるコネクターは人命に関わるので、品質水準は厳しい」(試験担当者)。自動車は走行時に振動や激しい温度・湿度変化にさらされやすいうえに、故障すれば事故につながりかねない。需要増に対応するためには、高度な試験を効率的に実施できる環境が必要だった。

自動車向けが伸びているのは、自動車に搭載する電子機器が近年大きく増えているからだ。自動ブレーキをはじめとするADAS(先進運転支援システム)にはセンサーなどの電子機器が多く使われている。また、電気自動車(EV)や燃料電池車のような環境配慮型車両は動力としてモーターを使うため、その電気を流すためのコネクターがさらに必要になる。

独立系コネクターメーカーのイリソ電子工業は、まさに自動車向けで成長する企業だ。売上高の約8割が自動車向け。前期(2018年3月期)の営業利益は84億円(前期比26・5%増)と過去最高益を更新した。今年度も好調な決算が続く見通しだ。檜野万郎総務部部長は「長年自動車向けのコネクターに注力してきて、自動車メーカー・自動車部品メーカーとの信頼を築き上げてこられた」と胸を張る。

今後、自動運転車やコネクテッドカーが増えると、センサーや通信機器の搭載が増え、コネクター需要がさらに増えることが期待される。コネクター専業大手、ヒロセ電機の須﨑英雄IR室長は「自動車向けはとても魅力的な市場。もっと自動車向けに力を入れる」と語る。固く見積もっても、自動車向けは5年は需要が伸びると見る業界関係者が多い。

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