妙齢女性がこぞって「徘徊」する町の吸引力 呑兵衛の聖地、横浜・野毛のディープな夜

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仕方なく、ほかのスナックを探そうとトイレの前を通過したとき、トイレの入り口が開き、黄色いハンチングを被った女性が勢いよく出てきた。またもスナ女センサーが作動する。この方はもしや!!

「すいません、失礼ですが、IBUKIのママですか!?」「そうだけど、あんた、だれ?」

やはり! このチャンスを逃すわけにはいかない。「ママのお店を目当てに来たものです。今日、お店何時からですか?」。すると、ママは素知らぬ顔で、「今さー。わたし、ほかの店で飲んでるんだよねー」と一蹴。畳みかけるように懇願した。「待ちます! 何時に開店ですか?」。トイレから出ていきなりの質問攻めに困惑しながらも、「わーかったよ、じゃあついてきな!!」とIBUKIの扉を開けてくれた。

「説教バーって言われてるらしいなぁ」

店のクーラーを入れ、カウンターの中にはいるママ。取材のお願いについて話そうとすると、「ごちゃごちゃ言ってないで、とりあえずそこに座れ!」と言われる。「何飲む? ビール? はっきり言え!」目の前に瓶ビールだけが置かれる。「コップなんかいいんだよ、そのまま飲め!」。

ここ「IBUKI」は、筆者が常々来たいと思っていた、通称“説教スナック”。わずか3坪ほどの店内は、カウンター5席と2人掛けのテーブルのみ。壁にはカラオケ用のモニターとボトルが並び、カウンターの隅には複数の新聞と経済本が置かれている。

ママの名前はせつこさん。故郷、滋賀県の伊吹山から名前を取り、店名を「IBUKI」と名付けたそうだ。

「なんや、説教バーって言われてるらしいなあ! 別にかまへんけど、わては説教なんてしとらん。本音言わん人間は嫌いやねん。せやから、思ったとおり言うてる。そのほうが本人のためになるんや」(ママ)

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