「飲み歩きの聖地」京成立石が大変貌する理由

「せんべろの街」駅前は高層ビルに

「昭和レトロ」な雰囲気が人気を集めている京成立石駅周辺。大規模な再開発によって大きく変化しようとしている(筆者撮影)

「せんべろ」。「1000円でべろべろに酔える酒場」という意味で作家の中島らもが使い始めた言葉と言われる。

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近年、この「せんべろ」が人気を博し、さまざまなメディアで「せんべろ」や「せんべろ」があるまちが紹介されるようになった。葛飾区の京成立石駅周辺はそんな「せんべろ」のまちのひとつだ。居酒屋が安いことも魅力だが、駅を出るとすぐの所に昔から営業していそうな惣菜屋があったり、14時ごろに開く酒場があったりする「昭和レトロ」な雰囲気を感じることができるのもまた魅力のまちだ。

しかし、この街並みがいま、再開発で大きく変化しようとしている。なぜ、いま再開発なのか。調べてみると、地域が抱える重大な課題が明らかになってきた。

昭和レトロの街並み

京成立石駅周辺は駅の北側・南側ともに商店街が面的に広がり、どちらも下町らしく建物が建て込んでいる。この街並みは第二次世界大戦後に生まれた闇市から発展したものだ。立石の闇市では漫画家・エッセイストのつげ義春の母親が居酒屋を半年ほど営んでいたという。つげ義春自身も同じ頃に小学校を1年休学して露店でのおもちゃ販売やアイスキャンディ売りなどを行ったそうだ。

狭い通路に店が立ち並びにぎわう「立石仲見世商店街」(筆者撮影)

そんな立石のまちを象徴する場所として知られているのは南口にある「立石仲見世商店街」だろう。ここは戦災で家を焼かれた浅草の飲食業者が疎開してきて露店を始めたところだ。「仲見世」という名前は、彼らのルーツである浅草を偲んで命名されたという。

狭い通路に惣菜屋や居酒屋などが立ち並び、雑多な雰囲気を醸し出す商店街の上にかかるアーケードは1960年に作られた古いもので、昭和レトロの雰囲気を盛り上げる。この商店街の中でも有名な店はもつ焼きの「宇ち多゛(うちだ)」だ。独特なルールがある居酒屋だが、価格はすこぶる安く、昼間から多くの人が列を作る。

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