「飲み歩きの聖地」京成立石が大変貌する理由 「せんべろの街」駅前は高層ビルに
この仲見世の西側にある「イトーヨーカドー食品館立石店」も古い。1963年の開業で、これは同社の店舗のなかでいちばん古い店舗だという。イトーヨーカドーと言えば、多層建ての総合スーパーというイメージが強いが、立石店は個人経営の食品スーパーのように小さなもので、同社の創業期の空気を感じることができる。
北口にも立石らしい「昭和レトロ」な場所がある。まずは京成押上線沿いに少し東に行った所にある「呑んべ横丁」だ。元々は「立石デパート」という洋品店や飲食店が集まった建物だったが、いまは10軒ほどの居酒屋やスナックといった店舗が古い建物の中で営業している。また、立石駅通り商店街を北へ向かい、左にある細路地に入ると、昔の赤線地帯の跡地だ。いまでも小道の奥にスナックやガールズバーなどが営業している。
このように安い居酒屋の生み出す「せんべろ」のまちという側面と古い街並みが生み出す「昭和レトロ」感のあるまちという側面が合わさって、立石はテレビにも度々取り上げられることがあり、最近は訪れる若い人も増えたという。
街の姿を変える4つの事業
そんな立石でいま、大きなまちづくり事業がいくつも進んでいる。
現在進んでいるまちづくり事業は4つある。そのうち先行して進んでいるのは京成押上線の連続立体交差事業と立石駅北口地区第一種市街地再開発事業だ。
京成押上線連続立体交差事業は、東京都・葛飾区・京成電鉄が共同で行う事業で、四ツ木駅から京成立石駅を挟んで青砥駅までの2.2kmを立体化する。この事業により11カ所の踏切が解消される予定だ。
特に四ツ木第2号踏切では葛飾区の南北交通の要、平和橋通りが交わる。そうした事情から葛飾区内では自治町会連合会が1996年に約18万人の署名を集め、国と東京都に事業化の早期実現を要請した経緯がある。葛飾区都市整備部立石駅北街づくり担当の工藤勝己課長は「葛飾区民にとっては悲願とも言える」と事業の意義を話す。
2001年に立体交差の都市計画が決定し、2003年から事業が始まったものの、工事用地の取得などに時間がかかり、2016年にようやく着工した。まだ立石駅周辺には数軒の建物が残っているが、「用地取得に向けた話し合いは進んでおり、遅くても1~2年後には工事に着手できる見込み」(工藤課長)という。線路切り替えなど工事の本格化はこれからで、2022年度内の完成を目指す。
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