アメリカ農家がやはり「トランプ支持」なワケ 大型支援策で「約束を守る男」に期待高まる

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「結局のところ、農家はトランプ流のやり方が好きなんだ。トランプ氏は大統領選挙のときにいろいろ約束し多くの農家は彼に投票した。しかし、本心では本当に実現するとは思っていなかった。過去の大統領当選者は選挙で約束したことをすぐに忘れたからね」

「しかし、彼は違った。いいことも悪いこともあるけれど、約束を守った。『環太平洋経済連携協定(TPP)はやめる』『北米自由貿易協定(NAFTA)は再交渉だ』と主張し、本当にそうした。通商摩擦で農家はたいへんなシワ寄せを受けているが、トランプ氏への信頼感は揺らいでいないと思う」

『ファーム・フューチャーズ』編集長のマイク・ウィルソンさん(写真:筆者提供)

大規模農家向け雑誌『ファーム・フューチャーズ』編集長のマイク・ウィルソンさん(59)は農家のトランプ熱に当てられた経験を話してくれた。

「コラムでトランプ政権の通商政策を取り上げた。ちょっと批判的に書いたら、読者から『大統領への批判を書くならもう購読しない』という抗議の手紙が押し寄せた。35年間、この仕事をしているけれど、こんなの初めての経験だ。農家はワイルドなトランプに夢中だよ」

ウィルソンさんは農家のトランプ支持率を60%と低めに見積もったが、「トランプ政権が農家の支援策を打ち出せば、すぐに上昇する」と言い切った。

「俺たちの気持ちをわかってくれる」

10人の話をまとめると、全米の農家は「悪いところもあるけれど、俺たちの気持ちをわかってくれるのはトランプだ」という強い仲間意識を抱いているようだ。

大半の農家は自らを企業家と考え、共和党候補を支持する。都会のインテリを代表した民主党のヒラリー・クリントン候補への反感はそうとう強く、その分選挙でトランプ支持に流れたことは確か。しかし、根っこのところでトランプ氏のキャラクターが、農家の琴線に触れたことは間違いなさそうだ。

これまでパーデュー農務長官らは「トランプ政権は農家を守る」と繰り返していたが、具体策を打ち出してはいなかった。10人には「どのような救済策が考えられるか」と聞いたものの、誰一人答えられなかった。トランプ大統領が農業予算削減を議会に持ちかけていたことを指摘し「うまい策などないよ」と回答したジャーナリストもいた。

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