アメリカ農家がやはり「トランプ支持」なワケ 大型支援策で「約束を守る男」に期待高まる

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ところが、ふたを開けてみたら予想を超える最大120億ドルという巨額の支援策が転がり出た。具体的な制度設計は9月まで持ち越されるが、農家への資金支援や余剰在庫の買い取りなどが検討されている。120億ドルという額は、米農務省が計算した通商摩擦による被害額110億ドルを上回る。考えようによっては、これもトランプ流の人心掌握術の一つなのかもしれない。

海外市場を失うリスクは大きいが

貿易戦争に反対する議会共和党や農産物輸出団体の幹部は「目先の救済策よりも、米国農畜産物の海外市場を守ることが大切だ」として、トランプ政権の農家支援策に批判的な姿勢を崩さない。

確かに、いったん失った海外市場を回復するにはかなりの期間と労力が必要だ。2003年末に米国内で発見された牛海綿状脳症(BSE)の打撃は、米国産牛肉の最大のお客であった日本で10年以上も尾を引いた。1979年に当時のソ連がアフガニスタンを侵攻し、米政府はソ連向け穀物の禁輸を直ちに決めたが、効果がなかったばかりか、その後のソ連市場を南米産地に奪われた。

長期的な視点で考えれば、お客との間で緊張感を高めるトランプ流貿易戦争はマイナスなのだろう。しかし、10人のジャーナリストが指摘するように、トランプ氏のキャラクターに熱を上げる農家の気持ちは揺るがない。「支援するという約束を守った」と受け止める農家は、間違いなくトランプ氏への傾斜を強める。

今回のアイオワ州でのトランプ大統領の演説は、その流れを決定づけるものになるといっていいだろう。農家の支持を再び勝ち取ったトランプ政権は、約束どおり今後も強硬な通商政策を続けることになりそうだ。

山田 優 農業ジャーナリスト

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やまだ まさる / Masaru Yamada

日本農業新聞を経て、農業ジャーナリスト。

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