歴史に学ぶ「米中貿易摩擦」の行きつくところ

85年前の「米中"銀"対立」を知っていますか

米中貿易摩擦の行方を考えるうえで1930年代の米中関係を見てみることが役に立ちそうだ(写真:Mark Schiefelbein/Pool via Reuters)

米中の貿易摩擦がヒートアップしている。米国のドナルド・トランプ大統領が中国の知的財産権侵害への対抗として「中国からの輸入品500億ドル相当に25%の関税を課す」と発表すると、中国商務省は同等の関税で報復するとやり返した。するとトランプ大統領は、「中国からの輸入2000億ドル相当に追加関税を課す」と応じた。

この貿易摩擦はどのように収まっていくのだろうか。識者の中には、全面的な貿易戦争に突入すると考える人も少なくない。米中両国は「トゥキディデスの罠(覇権国と新興国との緊張関係が戦争を引き起こすほどに高まる現象)」にはまっているとして武力衝突に至る可能性を示唆する論者すらいる。

85年前に銀をめぐる米中対立があった

果たして、どうなるのか。この衝突の行方を考えるうえで1930年代の米中関係を見てみることが役に立ちそうだ。85年ほど前に起きた銀をめぐる米中間の対立には昨今の米中貿易摩擦といくつかの類似点があり、米中関係もしくは国際関係の今後を占うためのヒントが含まれている。

各国の金本位制採用とそれに伴う銀売却、1929年に始まった世界恐慌によるデフレーション、銀鉱脈の発見による銀生産の増大などにより銀の価格は低下し、世界恐慌前には1オンス65セント程度あった銀価格は25セント程度にまで落ち込んだ。

これに危機を感じた米国の銀業界は積極的なロビーイングを行った。このころ米国内の銀生産は西部山岳の7州(アリゾナ・カルフォルニア・コロラド・アイダホ・モンタナ・ネバダ・ユタ)に偏り、米上院では人口の多寡にかかわらず各州2名の上院議員がいるので、7州14名の上院議員は「シルバー・メン」と呼ばれて一大勢力を形成していた。

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