一方、①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は、差別的取り扱いが禁止されます。これも現行のパートタイム労働法には規定されていますが、新たに有期雇用労働者も対象とされることが大きな点です。これは「均等待遇規定」と言われるもので、正規と非正規雇用労働者の待遇差を禁じたものです。この均等待遇が求められるのは、給与に限らず、福利厚生、キャリア形成・能力開発などを含めたものが対象となります。
なお、派遣労働者については、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定要件を満たす労使協定による待遇、いずれかを確保することが派遣元に義務付けられます。
2016年12月に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が策定されましたが、今後はこれらの事項に関する根拠規定の整備が進められていきます。確定後のガイドラインに注目したいところです。
説明を求められたときにスルーはNG
改正後は、労働者に対する待遇に関する説明義務が強化されます。これまでもパートタイム労働者・派遣労働者については、待遇内容や待遇決定に際しての考慮事項について説明責任が課されていました。今後は、有期雇用労働者に対しても、本人の待遇及び待遇決定に際しての考慮事項に関する説明することが義務付けられることになりました。
また、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者が事業主に正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等について説明を求めたときは、それらを説明する義務が創設されました。そのため、非正規雇用労働者から「なぜ正社員とこれだけ給与や手当が違うのか?」という説明を求められたときに、無視することはできず、説明責任を果たせるようにマネージャー・上司は心がけておかねばなりません。場合によっては、賃金制度全体の見直しも迫られる可能性があるでしょう。そして、こうした説明を求めたことによる不利益な取り扱いも禁止されています。
雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保について、パートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法の改正施行日は、2020年4月1日から。中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は1年遅れの2021年4月1日からとなります。
今後、法律の施行に伴う関係省令や指針等、詳細の検討が進められていきますので、引き続き着目していただければと思います。
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