「子供を産まない選択は勝手」発言にモノ申す

日本の出生率が低い責任は政府にある

たとえば、ロシアでは2007年から「母親資本制度(当時のレートで2人目の出産に100万円、3人目に86万円を支給する制度)」を実施している。出生率は2006年の1.30%から、1.41%(2007年)、1.50%(2008年)、1.54%(2009年)と上がり、2015年には1.75%まで上昇した。

育児支援政策が顕著に影響を与えていることがわかるのがフランスだ。1994年の1.66%から2000年には1.87%、2006年には2%に出生率を上げた。育休手当の導入を正社員だけでなくパート労働者にも拡大し、家族給付の対象となる子どもを18歳から20歳に延長した。

国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障費用統計(2014年度)」によれば、フランスは支援予算をGDPの3%近くをあてている。2010年の欧州債務危機以降、支援予算を削減したため、20代の人口1000人あたりの出生数が5年間で1割減るなど、この影響力は大きい。

北欧は社会福祉が充実していることで知られているが、教育費はすべて無料である。少子化対策への予算は、スウェーデンがGDPの3.6%ほどを占めている。

対して、子なし夫婦のほうが幸福度の高い国の場合はどうだろう。アメリカでは、育児休暇は日本のように有給休暇ではなく無給休暇扱いの州がほとんど、女性の5割が出産を機に退職する。出産育児手当なども不十分で、支援予算もGDPの0.68%しかない。

日本も幸福度の高い国と比べると、育児・子育ての支援は薄い。日本の予算はGDPの1.34%しかない。

日本は「子どものいる女性」の幸福度が低い傾向にある

2013年に発表された内閣府の調査結果「子どもを持つ若年層を対象とした幸福度に関する研究」や、そのほかの民間のアンケート調査結果を総合的にみると、日本でも子どものいない女性に幸福度が高い傾向がある。

日本では待機児童問題も解決せず、生涯出生率も減る一方である。子供を産むことに経済面や精神面から不安を感じている女性も増えている。子育て支援の政策が薄い日本では育児環境に不安があることがわかる。

内閣府の調査では、特に、子供のいる女性の中でも「共働き世帯の忙しい女性」と「若い女性」には顕著に幸福度が低くあらわれた。年齢が低いほど幸福度が低く、生活満足度においても満足度は低い。将来も悲観している傾向がみえた。

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