「子供を産まない選択は勝手」発言にモノ申す 日本の出生率が低い責任は政府にある

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常時、雇用されている女性は、経済面に不安を感じているだけでなく、夫などの手助けが足りず自分だけで育児と家事を抱え込んで負担を感じていることが想像できる。

こうした状況が日本で出生率が増えない原因を物語っているのではないか。日本で出産した場合、幸せを感じづらい。だから、産まない選択をする女性が増えるわけだ。生涯独身女性が、5年で10%から14%に増えているのもそのせいかもしれない。そんな状況にあるなら、「子どもを産まないほうが幸せ」と考えることも、「産まない選択」をすることも、決しておかしなことではない。

2050年には子どもが生まれる数が半分に

日本の2017年の出生率は1.43で、2年連続低下している。今のような状況が続けば、32年後には、1年間に50万人、つまり現在の半数程度しか子どもが産まれなくなるという統計もある。

子どもを産む、産まないは個人の自由だと考えるのが筆者の立場だ。しかし、今以上に少子化が進むと、年金や医療保険制度が破綻する可能性が高く、日本にとって喫緊の課題であると危惧もしている。

前述したように、フランスやスウェーデンなど、子育て支援政策が充実している国ほど幸福度も出生率も高い。また、幸福度の高い国では、保育園や保育ママなど、育児中の母に喜ばれる充実した政策が実施されており、女性が働き続けることが保障されていることもわかる。

さらに、両国では7割以上の男性が当たり前のように育児休暇を取得し、復帰後は昇進、あるいは元のポジションに就くことが約束されている。どんな夫も、妻の出産後の育児を手伝いやすい環境が整っており、これらが夫婦の幸福度の向上につながっている。

日本でもフランスやスウェーデンを参考に、子育て支援政策の充実や、育児休暇の取得率の向上を目指したほうがいいだろう。日本企業では、まだ高年齢層が中枢を占めるため、若い社員が育児休暇を取ることが理解されづらい。少子化を早急に抑えたければ、法律で強制的に義務化したほうがいい。それと同時に、フランスを真似て、民間企業の労働者の4割を占める非正社員にも1~3年の育児休暇を取得できるようにしなければ、抜本的な解決策にはならないだろう。

柏木 理佳 生活経済ジャーナリスト

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かしわぎ りか / Rika Kashiwagi

1968年生まれ。豪州ボンド大学大学院にて経営学修士(MBA)取得。育児中に桜美林大学大学院博士後期課程にて博士号取得(学術博士、「中国民営企業における独立取締役の監査・監督機能」)。米国企業勤務、北京の首都師範大学に留学後、シンガポールにて会社設立に携わる。嘉悦大学短期大学部准教授、実践女子大学大学院非常勤講師(経営管理論)。現在は、NPO法人キャリアカウンセラー協会理事、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。「日本を変えるプラチナウーマン46人」(『プラチナサライ』、小学館)にも選ばれる。海外で世界15カ国の人と働いた経験をもとに帰国後は、同時通訳、翻訳、通訳ガイドなども。また、「モーニングCROSS」コメンテーターなどテレビ・雑誌などで活躍中。公式サイト

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