そして、鉄道・新幹線についても共通点がある。
小松駅は現在、平日の定期列車は1日当たり上下156本が発着する。他の未開業の整備新幹線沿線と比べれば、県庁所在地の佐賀駅や長崎駅に匹敵する本数だ。大阪と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」が上下33本停車しているほか、名古屋と北陸を結ぶ特急「しらさぎ」が32本、福井―金沢間の特急が8本発着し、1時間に上下6本が止まる時間帯もある。さらに普通列車も密に運行され、鉄道の利便性は非常に高い。北陸新幹線開業前、経由するすべての特急列車が停車して活況を呈した高岡駅を彷彿とさせる。
高岡市は新幹線駅が在来線駅から約1.7km南側に立地し、両駅の共存・連携、中心市街地の振興など、まちづくりのうえで難題を抱えた。さらには、金沢駅・富山駅と隣り合う環境にあったため、最速型の列車「かがやき」は臨時便のみの停車にとどまった。その後、定期便格上げを目指して地元が運動を展開したが、逆に平日の臨時便が減便となり、その後、地元の活動は広域観光充実に比重を移している。
小松駅のダイヤはどうなるのだろう。「新幹線駅ができると言っても、問題はどれぐらい止まるかですよね」。筆者が利用したタクシーの運転手は漏らした。
地元の関心は低くないようだが、動きは南隣の加賀市が先行している。小松駅から約15km離れた加賀温泉駅をめぐり2017年、「加賀に北陸新幹線を停めよう」「金沢みたいになりたい」をキャッチフレーズに、「かがやき」停車キャンペーン「東京2023加賀」をスタートさせた。小松駅は底堅いビジネス需要が見込める半面、在来線特急なら金沢から1駅で16分、在来線でも30分余りの近さだ。
地元はまだ、詳細なダイヤの検討や要望活動には踏み込んでいない様子だが、焦点は「かがやき」停車の有無より、並行在来線・IRいしかわ鉄道を絡めた「かがやき」とのスムーズな接続、あるいは、各駅停車タイプの「はくたか」の運用見直しや、富山―金沢間を走るシャトル型の「つるぎ」の延伸となるかもしれない。
地元が意識する「空港の将来像」
小松駅のダイヤ以上に地元が強く意識しているのは、小松空港の将来像だ。本州の日本海側では最大の利用者数を誇り、国土交通省の2017年度速報データによれば国内線が約153万人、国際線が20万人余り、合わせて約173万5000人の利用があった。北陸新幹線開業に伴い減便・機材小型化があったものの、羽田便は1日10往復を維持し、成田、新千歳、仙台、福岡、那覇との間にも定期便がある。
さらに、ソウル、上海、台北に国際定期便が飛ぶほか、ルクセンブルクに週4便、アゼルバイジャンへ週2便の国際貨物便が往来している。貨物の取扱量は地方空港では有数、特に国際貨物は1万5822トンと、新千歳にわずかに及ばないながら肩を並べる。国内外、しかも貨客にわたる空路は、大きな存在感を持つ。
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