北陸新幹線延伸まで5年「空港の街」小松の今 鉄路と空路「敦賀開業」後の共存の行方は?

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北陸新幹線の工事が進む小松駅東口。左に見えるのは巨大ダンプトラック=2018年6月(筆者撮影)

小松駅は2000年代初めに高架化され、新幹線駅のような存在感を醸し出す。敦賀延伸に伴う新幹線駅併設に向け、東口で駅舎と線路の工事が進む。西口には2018年4月、公立小松大学が開校した。全国でもまれな、新幹線駅前に立地する国公立大学となる。

このほか、市立の科学博物館「サイエンスヒルズこまつ」や見学スペースを持つ埋蔵文化財センター、ドーム球場「こまつドーム」などがあり、郊外には敷地12万8000平方メートル、3400台の駐車場を備える大規模商業施設「イオンモール小松」をはじめロードサイド店も多数立地する。景観や商業集積、都市機能、施設は中核市クラスだ。

とはいえ、八日市町、三日市町といった駅間近のアーケード街は、人口規模相応に苦戦を強いられ、閉じたままのシャッターが目立つ。それでも、こざっぱりとリノベーションしたゲストハウスや老舗商店など、健闘している店は少なくない。

「北陸新幹線で小松駅に降り立ったお客たちに、看板商品をぜひ手に取ってもらいたい」。八日市町で和菓子店「御朱印」を経営する半田雅彦さんは40歳だ。店の名を冠したチョコレート饅頭「御朱印」を敦賀延伸に合わせてブランディングしようと連日、思案を重ねている。仏教や仏閣が日常に溶け込んでいる北陸・小松ならではのネーミングだろうか。

半田さんと親しい小松商工会議所職員の坪田豊和さんは「市内には、源義経・武蔵坊弁慶が登場する歌舞伎の舞台『安宅の関』跡もある。小松空港と新幹線の共存を目指し『関所サミット』などを開催できないか」と思いを巡らす。

歴史伝える町家と歌舞伎の街

小松市の商店街。閉じたシャッターが並ぶ中、奮闘するおしゃれな町家も目立つ=2018年6月(筆者撮影)

意外に知られていないが、中心市街地には寺院が密集しているほか、往時のたたずまいを残す1100軒もの町家が市内に建ち、地元紙の記者らは「密集度は金沢をしのぐのでは」と語る。

市は「こまつ町家情報バンク」を運用、積極的に保存を図るために「町家認定制度」も設けており、新築でも伝統的な町家のデザインを採り入れた家が目立つ。江戸時代後期に始まった「曳山(ひきやま)子供歌舞伎」は、日本三大子供歌舞伎の1つに数えられる。「歌舞伎」は「安宅の関」と並ぶ市の主要なアイコン、そして文化を支える柱の1つだ。

近世と21世紀の文化・産業が交錯する小松市の姿は、すでに新幹線開業を迎えた富山県高岡市と幾重にも重なる。現在に連なる小松市の歴史は、江戸時代初期・寛永年間に、加賀前田家第3代・前田利常の隠居城として小松城が築城されたことに始まる。一方、高岡市は第2代・利長の隠居城として高岡城が慶長年間に築城され、墓所も市内にある。その菩提寺・瑞龍寺は富山県唯一の国宝だ。ともに「加賀藩・前田家」との縁が街の軸に位置し、「ものづくりの街」としての歴史と文化を持つ。

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