日本で取り扱いのある米国ETFの時価総額トップは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)の「SPDR S&P 500 ETF」(ティッカー:SPY)で、時価総額は29兆円を超える。SPYはいまから25年前の1993年1月に設定された、つまり前述の米国第1号ETFだ。
SPYはその名の通り、S&P500指数をベンチマークとしている。日本のニュース等では、米国の株式市場の動きは、NYダウ平均株価やNASDAQ指数で報じられることが多いが、S&P500指数は米国の上場企業主要500社で構成され、その時価総額は米国の株式市場の8割に達することから、米国の株式市場の動きを表す指標として、特に投資の世界ではよく利用されている。
SPYは人気も高く、この6月15日時点の直近65日間の1日平均売買高は8713万口と、こちらも253銘柄中トップだ。その背景には、好調な米国株式市場が後押ししている。S&P500指数は2016年初以降、約2年間上昇トレンドを続け、幾度となく過去最高値を更新してきた。今年2月に急落に見舞われたが、その後も安定した推移が続いている。したがって、パフォーマンスも直近の1年間が14.2%、5年間でみても年平均12.8%と、2ケタ成長を続けてきた。
米国ではこれだけポピュラーな商品ということもあり、日本でも東証に上場している(証券コード1557)が、日本での売買高は非常に少なく、同じ期間でみた1日平均売買高はわずか1538口にすぎない。
4位までは時価総額10兆円超え
2位はブラックロックの「iシェアーズ・コア S&P500 ETF」(IVV)で時価総額は16.8兆円。4位の「バンガード・S&P500 ETF」(VOO)が時価総額10.2兆円と、S&P500指数をベンチマークとするETF3本の時価総額がすべて10兆円超と他を圧倒している。ちなみにS&P500の構成銘柄には、時価総額で世界最大のアップルのほか、アマゾン、アルファベット、フェイスブック、ネットフリックス、エヌビディアなど注目度の高い高成長ネット企業がすべて含まれている。しかも彼らの時価総額は急速に拡大してきたので、その成長がしっかり反映されている。
SPYもIVVもVOOも同じS&P500をベンチマークとしているので、パフォーマンス実績はほとんど変わらない。ただ、後発のIVVとVOOは経費率0.04%と低コストを打ち出しているが、1日平均売買高ではSPYに大きく水をあけられている。
時価総額10.9兆円でランキング3位の「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)は、S&P500指数銘柄よりもさらに幅広く、米国の取引所に上場しているほぼすべての銘柄を投資対象としている。ベンチャー企業のIPOが日常茶飯事の米国では、次なる成長企業予備軍が続々誕生する。実力のある既存の大企業だけではなく、こうした新興企業の成長も全部取り込もうというのが、このETFの特徴だ。
前述のIVVやVOO同様、経費率は0.04%と低コストだが、1日平均売買高は225万口と時価総額の割に少ない。おそらくこれらのETFは、米国の株式市場全体の成長を長期保有することによってその収益を享受するという投資スタイルの最適なツールとして活用されているのではないかと考えられる。
7位のインベスコ「パワーシェアーズQQQトラストシリーズ1」は、ハイテク・IT企業が多いNASDAQ上場の非金融銘柄の時価総額上位100銘柄を投資対象としている。したがって投資銘柄の6割強はIT企業で、しかも上位10銘柄で全体の55%を占める。それだけに価格変動のリスクは高いが、成長が続いている企業が多く、投資妙味のある1本となっている。1日平均売買高は4000万口を超える高水準だ。
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