共働き夫婦が使う住宅ペアローンの落とし穴 2人で銀行からたくさん借りすぎていないか
実は、飯村夫妻は、いくつかの幸運に恵まれました。1つは、現在の低金利です。2つ目は両方の親からの援助で、物件価格の約2割を頭金にできたことです。さらに、駅から6分という比較的好立地に家を持てたこと、そして、まだ20代ということで、リタイアまでにローン完済を見込めることも好材料です。
新築購入&自己資金2割未満なら売却時はピンチ
一般的に、新築物件を買う場合、買った途端に物件価格が2割下がるといわれています。新築物件には「新築プレミアム」といわれる本来の価格よりも2割程度上積みされた価格が設定されているためです。そのため、自己資金が2割未満であれば、もし売却することになった場合、ローンを完済できない可能性が高いのです。
ローンを組むとき、多くの人が「今の家賃分ならローン返済に充てられる」など、目先の事情だけを考えて借り入れ可能額いっぱいまでのローン契約をしてしまいがちです。しかし重要なのは、将来「何らかの事情で収入減になった場合に支払いができるか」、あるいは家を手放さなければならなくなった場合を想定することです。そのうえで余裕ある返済計画を立てる必要があるのです。
飯村家には心配ないことですが、「夫婦ペアローン」を組んで、途中で婚姻関係を解消しなければならないということだって、ないとは言い切れません。実際に、離婚による債務形態変更の相談は増加傾向といわれます。その場合、通常は「売却してローンを完済する」がルールです。このとき、先の「買った瞬間、新築プレミアム分2割価格は低下する」が響いてくるのです。
中古の場合はハードルが低くなるかもしれませんが、やはり「物件価格の2割程度+諸費用分」の自己資金(頭金)を用意してから、住宅購入をすることをお勧めします。また、貸し手である銀行も、一定以上の自己資金を債務不履行回避の1つの目安として評価しているようです。たとえば、ソニー銀行では、物件価格の10%以上でも自己資金があると、金利を0.05%引き下げてくれるなどの優遇があります。
子どもが生まれ、新築の家も購入した飯村さん夫妻。今後、ライフプランの変更があるごとに、「必要貯蓄率」を再計算し、着実に貯蓄を積み上げていってください。もちろんおカネの置き場所としては、ぜひiDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(少額投資非課税制度)を優先的に使い、おカネにも働いてもらいましょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら