共働き夫婦が使う住宅ペアローンの落とし穴 2人で銀行からたくさん借りすぎていないか

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では、改めて飯村家の家計を考えてみます。ご夫妻の借入合計額は4500万円で、固定金利1.06%、借入期間は35年、夫と妻、6:4の割合で借り入れをしています。毎年の返済額は合計153万円です。現在の家計の手取り年収は和花さんが時短勤務のため約491万円。返済割合は年収の約31%ということになります。

ローンを支払いながら、どれだけ貯蓄できるか

これを多いと見るかどうかは、「住宅ローンを支払いながらいかに貯蓄ができるか」で考えるべきでしょう。いつものように、「人生設計の基本公式」を使って、飯村さんご夫妻の「必要貯蓄率」を求めてみましょう。

人生設計の基本公式とは、ひと言で言えば「老後いくらで生活をしたいか」を考えて、それを実現するためには「今後手取り年収の何割を貯めるべきか(=必要貯蓄率)を計算するもの」です。年齢などは弾力的に設定できますし、いわゆるフルタイムワークなど第一線を退いてからも収入がある場合などにも対応しています。誰でも3分で計算できますので、詳しくは過去の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をご覧ください。初めての読者の方は、このままケーススタディを眺めつつ、読み進めてください。

飯村大輝さん(27歳)和花さん(26歳)夫婦の家計
子ども1人(0歳)
家計の今後の平均手取り年収(Y)900万円
(現在の手取り年収ではなく、残りの現役時代の年数も考え、これからもらえそうな生涯の手取り年収の平均を考えて記入します)
老後生活比率(x)0.5倍(65歳以降、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します。飯村さんの場合、住宅ローンはリタイアまでに完済しますし、子どもさんも成人していることから、支出は大きく減るとして、50%とします)
年金額(P)270万円(夫婦の合計額、手取り年収の3割として計算)
現在資産額(A)-450万円(今保有している貯金額は150万円ですが、教育費を600万円と想定してマイナスに。一時退職金も出る予定ですが、現時点では加算していません)
現役年数(a)38年(65歳まで働くとして計算)
老後年数(b)35年(20代の飯村さんは、65歳以降100歳まで生きると想定して35年で計算)
次ページ手取り900万円の飯村家の必要貯蓄率は?
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