共働き夫婦が使う住宅ペアローンの落とし穴 2人で銀行からたくさん借りすぎていないか

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しかし、当然ながら、借入額を大きくすると、返済には「より綿密な計画」が必要になります。まずはマネー相談でも質問が多い、「住宅ローン減税」について、ポイントを押さえておきましょう。

ローン残高の1%が自動的に減税されるわけではない

住宅ローン減税は、ひと言で言えば「家を買うと税金が安くなる」という制度です。そのため、確かにマイホーム購入の背中を押してくれる制度と言えます。実際、飯村さんご夫妻もこの制度に魅力を感じて購入を決めたそうです。

減税されるのは、購入時だけではありません。リフォームなどのために住宅ローンを借りた人でも受けることができます。10年間、年末のローン残高の1%が所得税から控除されます。制度の内容を詳しく見てみましょう。

控除の対象となる借入額は、上限4000万円(長期優良住宅は5000万円)です。所得税からの控除額は上限10年間で400万円(同500万円)です〔2021年12月までは消費税(8%または10%)を支払って住宅購入したりした場合に限る〕。住宅ローン減税による控除額を、その年の所得税額から控除しきれない場合は、その差額分を翌年度の「住民税」から控除できます(上限額:年13.65万円)。利用できる要件などは国土交通省のサイトをご覧ください。

さて、夫婦ペアローンを組んだ飯村さんの場合はどうでしょうか。もちろん、それぞれがこの住宅ローン減税を受けることができます。5400万円のうち頭金900万円を払ったので、借入額は合計で4500万円。内訳は大輝さんが2860万円、和花さんが1640万円です。

年末時点でのローン残高の1%が減税になります。しかし、実際に控除されるのは、自分が支払った所得税分です。それで控除しきれない場合は、翌年の住民税の中からの控除になります。

飯村さん夫婦の場合、大輝さんが払った所得税額は約12万5000円、和花さんは約8万円ですので全額が控除されました。さらに、引ききれなかった分は翌年の住民税から差し引かれます。結局、住民税も安くなったのですが、フタを開けてみたら、大輝さんの住宅ローン減税額は約19万4000円、和花さんは約12万5000円でした。年末時点でのローン残高は4000万円以上あったのですが、このように「ローン残高が4000万円以上あっても上限いっぱいの40万円が控除されるわけではない」ことに注意しましょう。

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