「別人」になり伴侶を見つけた46歳男性の結婚 30代半ばでの大病が、自分と人生を変えた

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当時、健太さんは37歳。音楽サークルで女性と接することに慣れつつも、恋愛経験は豊富ではなかった。婚活パーティや婚活バスツアーにも数え切れないほど参加したが、「シュッとした男性とかわいい女性が結ばれる」傾向があることを目の当たりにした。

「私もたまにカップルになることはできましたが、パーティの後で連絡をしても返事をくれないことが多かったです。でも、昔のようにウジウジと悩んだりはしません。お互いに好きになるのは難しいことだとわかってきたからです。私をあまり好きではない相手にどれだけプレゼントをしても無理なものは無理でしょう」

自分に好意がない相手に振り向いてもらう努力をするぐらいなら、次に行ったほうがいい――。経験を積んだ者だけが身にしみて理解できる「恋愛の真実」だと思う。健太さんは結婚相談所でのお見合いにも同様の軽やかさで臨んだ。

「1日に4人の女性とお会いした週末も少なくありません。私に申し込んでくれた人には全員に会い、丁寧に対応していたつもりです。人と話すことが苦手だった私が、(ゲームの)ドラクエみたいに経験値が上がっていくことがわかりました。自分ばかりが話すのではなく、相手のプロフィールを事前にちゃんと読んでおき、相手の興味に沿った質問をすると、いい笑顔でたくさん話してくれたりします。お見合いは鏡です。こちらが笑顔で気遣いをすると、同じような対応が返ってくると知りました。ちゃんと接してほしかったら、まずは自分からちゃんと接することが必要なんですね」

ただし、たくさんの女性と会うことができた理由を健太さんは冷静に分析している。お見合いは条件が先立つだけに、「上場企業の正社員で年収700万円」という要素が大きかったのだ。社風が良いとは言えない会社だが、このときは「ありがたい」と痛感したという。

健太さんは3年間で200人以上とお見合いをした。「ドラクエ感覚」で楽しんでいたとはいえ、ゴールはあくまでたった1人の女性と結ばれることだ。お見合いでは会話が弾むのに、なぜ先に進むことができなかったのか。

ずいぶん遠回りをしたけれど

「お互いに自然体でいられる相手をずっと探していたからだと思います。1回目では〇を付け合った人でも、2回目以降は楽しくなくなってしまったり……。おかげで時間がかかりましたが、2年前にようやく妻と巡り合うことができました」

妻の佳奈さん(仮名、40歳)は健太さんと同じく関西地方に住んでいて、仕事は保育士をしている。お見合いを申し込んだのは健太さんのほうだ。佳奈さんのプロフィールを見て、かわいい顔写真と仕事を丁寧にやっていることが伝わる文面に心ひかれた。

「佳奈さんのようなすばらしい人と出会えて、好きになってもらったことは本当にありがたいと思っています。ずいぶん遠回りをしましたが、もっと若くて身勝手だった頃に会っていたら、佳奈さんを傷つけてしまっていたかもしれません。この年齢でちょうどよかったのでしょう」

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