東芝が上方修正も、"がっかり"な理由 牽引役と呼べるのはNANDフラッシュメモリだけ

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不祥事に損失重なり、むしろネガティブ・サプライズ

さらに“がっかり”な点もあった。実は東芝の上方修正は、市場はほぼ織り込みずみだった。むしろ驚いたのは、経常利益と純利益の予想を据え置いたことである。孫会社の東芝医療情報システムズが、06年から12年度までに累計98億6300万円の資産過大計上をしていた不祥事が明らかとなった。また、マレーシアの半導体子会社の売却に伴い100億円程度の為替換算損が発生。特許庁向けシステムの開発断念による費用計上も織り込むなど、思わぬ損失処理が重なったことで営業外費用が大幅に膨らんでしまった。

東芝は「会社計画には500億円程度のリスク費用を織り込んでいる。営業益2900億円は最低ライン」(久保副社長)と一段の業績上振れを示唆している。下期に想定外の事態が起こらず、今度は"期待通り"の上方修正となるかに注目だ。
 

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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