猛暑の被災地で必要な「感染症対策」とは? 発災直後から1週間は特に破傷風に要注意

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大まかな傾向として、発災直後から1週間程度の急性期までは、建物の倒壊や家屋への浸水などによって傷病者が多数発生するなど、外傷治療や救命救急のニーズが高まる。その後、状況によっては数カ月間にわたって、慢性疾患の治療やストレスへの対応など、被災者の健康管理が必要になってくる。

これらすべてのフェーズで感染症への注意が必要だ。これは、大雨後、家屋が浸水したり、土砂災害に遭った被災地では、汚水の流出や土壌がかき回されることによって細菌やカビ、害虫が繁殖しやすい不衛生な環境になっていることに加えて、被災者がケガをしたり、体力が低下して感染症にかかりやすくなるためだ。

そのなかでも特に気をつけなければならないのは、避難所での生活が必要となってくる、発災から3日〜1カ月にかけての急性期・亜急性期。避難所での生活は往々にして集団生活を強いられることが多く、それに伴って、集団感染のリスクが高まる(一般社団法人日本環境感染学会 アドホック委員会 被災地における感染対策に関する検討委員会:「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き【第一版】」を参照)。

発災直後から1週間は特に破傷風に注意

今回の「平成30年7月豪雨」について見てみると、発災直後から1週間までの急性期の時期には、特に破傷風への注意が必要だ。これは、土壌がかき回されることによって、土壌中に生息していた破傷風菌への感染リスクが高まるためだ。

破傷風菌に感染すると、3日〜3週間ほどしてからマヒの症状が出てくる。ワクチンで治療することが可能だが、破傷風から身を守るためには、屋外や、浸水した家屋で後片付けなどをするときには、露出を避けた服装をし、特に手足に傷があるときには、傷を覆うことが必要になる。また、もしケガをしてしまった場合は、傷口をすぐにきれいな水でしばらく洗い(石けんがあれば石けんを使用)、清潔なガーゼや布などで覆わなければならない。

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