石破茂氏のとがった発言にみる挑戦者の矜持 自民総裁選で「噛ませ犬」の汚名を晴らせるか

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3度目の総裁選で、堂々たる論戦を挑む構えの石破茂氏(撮影:梅谷秀司)

西日本豪雨災害で政治休戦の声も出る中、自民党内では9月の総裁選出馬を目指す石破茂元幹事長の「とがった発言」が目立っている。"1強"を堅持して総裁3選に突き進む安倍晋三首相の壁は高く、党内では「石破氏に勝機はなく、出るのだけが目的」(細田派若手)との冷めた見方も広がる。だが、3度目の挑戦となる石破氏は「国民や党員の声を踏まえた堂々たる論戦で挑戦者の矜持をみせる」と闘志を燃やし、6年前の総裁選と同様の地方票大量獲得で、"噛ませ犬"の汚名を晴らす自信を示す。

首相ら総裁選候補の正式出馬表明は延長国会閉幕後の7月第4週以降となる見通しで、石破氏もタイミングを見計らって決意表明する構えだ。ただ、同氏は地方回りや各種講演、テレビ出演で自らの政治理念や政権構想をアピールするなど、すでに本番並みの活動を展開している。

その中で石破氏が繰り出す首相批判について、党内には「後ろから鉄砲を撃つ行為」との批判が多く、国会議員票の広がりには欠ける。しかし、次々回総裁選も視野に入れた言動で「ポスト安倍の本命」との立場を固めつつあるのも事実だ。

10年かけて3度目の挑戦、前回は首相に逆転負け

石破氏が初めて総裁選に出馬したのは2008年9月の福田康夫首相の退陣表明を受けての総裁選だ。麻生太郎(現副総理兼財務相)、与謝野馨(元官房長官、故人)石原伸晃(元経済財政相)、小池百合子(現東京都知事)の4氏とともに立候補したが、この総裁選を制した麻生氏とは大差の最下位で敗れた。

次の出馬は民主党政権下での2012年9月の総裁選。党総裁だった谷垣禎一氏(元幹事長、政界引退)が出馬を断念する中、安倍晋三(現首相)、町村信孝(元外相、故人)、林芳正(現文科相)に石原、石破両氏を加えた5人が出馬。国会議員と地方党員による1回戦では、地方票で石破氏が165票を獲得、86票にとどまった首相を圧倒して合計でも1位となったが、直後の議員のみの決選投票で首相に逆転負けした。

このため、今回、石破氏が出馬すれば3度目の挑戦となる。過去の総裁選を振り返ると麻生氏が4度目、小泉純一郎氏(元首相、政界引退)が3度目の挑戦で総理・総裁の座を射止めており、石破氏は両氏と並ぶ"挑戦継続型"の総裁候補となる。61歳という年齢から今回敗れても、3年後のチャンスは残り、麻生氏と並ぶ4度目の挑戦も可能だ。

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