日本代表への「手のひら返し」に映る真の衆愚 感情に任せる過剰バッシングが生まれたワケ
最後に今回の件で、もう1つ触れておきたいのは、組織トップの振る舞い。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は帰国会見で、選手、スタッフ、スポンサー、ファン、メディアに感謝の言葉を述べました。しかし、最後にわざわざ、耳を疑うような言葉を発したのです。
日本サッカー協会・田嶋会長の耳を疑う言葉
「『日本代表なんか嫌いだ』『応援しない』と言ってくださった皆さんが関心を持ってくださり、そういった方々にも感謝しなければいけないと思っています」
田嶋会長といえば、本番直前でヴァイッド・ハリルホジッチ監督を解任するなど、混乱や厳しい世論を招いた張本人。「嫌い」「応援したくない」と感じたのは、誰の何が原因なのか? そんな自分の非には一切触れず、一般の人々に皮肉のような言葉を放ったのです。
もちろん田嶋会長自身も強烈なプレッシャーに襲われていたのは間違いなく、同情の余地はあるでしょう。しかし、組織トップとして「勝てば官軍」とばかりの態度は、今後の活動にも影響を及ぼす失策にほかなりません。
日本代表の顧客は、スポンサー企業だけでなく、一般の人々であることはわかっているはずなのに、なぜ組織トップがこのような皮肉を言ってしまったのか? ビジネスパーソンにとっては、大いに反面教師となる振る舞いだったのです。
ただ、この数分後、長谷部キャプテンが、「大会前、僕たちはあまり期待してされていなかったと思うんですけど、『無関心はいちばん怖い』と思っていて、またこのワールドカップで皆さまの関心を集められたと思うので、引き続き日本の皆さまには、日本サッカー界、代表だけでなく、Jリーグ、海外でプレーする選手、いろいろなカテゴリーがありますけど、関心を持っていただき、時には温かく、時には厳しいサポートをお願いしたいと思います」と視野の広いコメントでフォローしました。
言わば、「デキのいい部下にダメージを和らげてもらった」という形です。将来、長谷部選手が日本代表の監督や日本サッカー協会の会長に就任したら、現在よりも日本国民から愛されるチームが誕生するのではないでしょうか。
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