全米も熱狂のゲーム大会「eスポーツ」の正体 日本人プロ選手が育つための3つの条件

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つまり、日本ではPCゲームが流行らない背景として、PCゲームのようにゲーマーが自らマシンやネット環境に飛び込む能動的なタイトルではなく、気軽に誰もが楽しめるタイトルが主流になっていることがある。

この競技タイトルを世界的基準にどう近づけていくか。国内の家庭用ゲーム文化を塗り替えるほどのインパクトをどう出していくか。それこそが、タイトルを提供する各企業や、eスポーツ大会を主催する運営団体の大きな課題となっていくだろう。

次に、「スター選手の育成」についてだが、メジャーリーガーとして成功を収めているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手や、フィギュアスケートの世界的看板となった羽生結弦選手などを思い浮かべると話は早い。

彼らは、野球やフィギュアスケートを知らない人にも大きな感動をもたらし、その競技に引き込む強い影響力を放っている。メジャー選手は多くのファンを引き付け、競技に注目を注いでもらうためのスポットライトのような存在でもある。加えて、こうしたカリスマに憧れた子どもたちや、さらに次世代のプロ選手を目指すというサイクルは競技人口と競技認知の拡大に必要不可欠だ。

収入が低ければプロスポーツとして成立しない

ここで最後のキーワードに挙げた「プロ選手としての収入源」が重要な要素としてかかわってくる。まずスター選手が誕生し、彼らが世界的に輝いたとしても年間収入が低ければプレイヤーとしての活動を継続することができない。ひいては、eスポーツがプロスポーツとして成立しなくなってしまう。次世代育成においても、職業としての収入が見込めない競技は、どうしても趣味という領域から抜け出せなくなってしまう。

eスポーツにおいて、現在選手個々へのスポンサードや大会での賞金が主な収入源となっている。たとえば、中国で開催されたDOTA2というタイトルの大会では実に20億円もの賞金総額が出された。

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