フランスのお仕事映画「セラヴィ」誕生の経緯 テロに負けない笑える映画を作りたかった

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――リーダーが2人いることで、お互いのエゴがぶつかり合うことはないんですか。

​Eric Toledano(エリック・トレダノ)/1971年、パリ生まれ。1995年にオリヴィエ・ナカシュと出会い、短編の制作をスタート。2002年にオマール・シーと出会い、長いコラボレーションが始まる。2011年公開の長編4作目『最強のふたり』がフランスのみならず、世界的に大ヒットを記録。5作目の『サンバ』(2014年)では再びオマール・シーが主演している (筆者撮影)

トレダノ:2人のうち、どちらがリーダーなのかは内緒なんですけどね(笑)。でも今日はヒントをあげましょう。実はメガネをかけているほうがリーダーなんです。

ナカシュ:いやいや、今日はメガネをかけてないほうがリーダーなんですけどね(笑)。というのは冗談だけど、確かに20年近く一緒にやっているんで、エゴは問題となるし、そこが心配なところではある。2人でやっていくということはフィフティ・フィフティなわけだから。僕の映画であって、僕の映画ではない。エリックの映画であって、エリックの映画ではない。そのエゴを調整することが、うまくやっていく方法だと思います。

シンプルなほうが成功の近道だったりする

――自分の100%の映画ではないということですが、自分の考えに固執しない、というのは、この映画のテーマにも通じるところがあります。

ナカシュ:そうですね。なんとかうまくいくようにしたいと思って、いろいろな手段を使ってやるわけなんですが、結局はいちばんシンプルな方法を選択することが成功の近道だったりするわけです。この映画ではエゴを批判しているわけですが、それはこの結婚式のクライアントである新郎がそれを体現しているわけです。

僕たちも『最強のふたり』が世界中で大ヒットを記録して、成功を収めました。すると自分の欲が出てくるものですが、われわれは2人いるからこそ互いのバランスが取れて、結果的にうまくいっているんだと思います。

Olivier Nakache(オリヴィエ・ナカシュ)/1973年、パリ郊外シュレンヌ生まれ。1990年代からエリック・トレダノとともに短編からキャリアをスタート。1999年に発表した短編『Les Petits Souliers』で、コメディに特化した国内の短編映画賞の審査員特別賞を受賞。実話を基にした長編4作目『最強のふたり』は、「フランス国外で最も観客を集めたフランス映画」となった (筆者撮影)

――お2人の映画は大衆性にあふれていますが、根底には人間賛歌というテーマがありグッときます。どのようにして題材を決めるのですか。

トレダノ:何をどう作るかは、作品によって違ってくるんですが、簡単に決まることはないですね。こういうテーマがいいんじゃないかとアイデアが浮かび上がったときに、社会背景や環境などに照らし合わせながら、2人で一緒にそのテーマについて突っ込んで考えるんです。そうやって議論をしながらだんだんとテーマを膨らませていくんです。

2日間くらいずっと話し合っていくうちに、採用されないテーマもあれば、だんだんとエネルギーを得て、膨らんでいくテーマもある。今回は働く人の世界を垣間見てみようというテーマの映画だったわけですが、次回は自閉症の子どもをテーマにしたいと思っています。コミュニケーション手段があふれる中、コミュニケーションができない子どもたちはどう生きていくのかをテーマにしていきたいと思っています。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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