AIが人間を監視する社会は目前に迫っている カメラ×行動解析で「人の目的」を予測する

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防犯だけでなく、マーケティング領域でも大いに活用できるAI監視カメラ。導入のハードルも低く、すでに1000店舗以上を持つ最大手企業との実証実験もおこなわれています。

目指すのは「AIによる“正しい”監視社会」の実現

――導入のハードルが低く、監視カメラが設置されていない場所のほうが少ないこの時代。既存の監視カメラに一気にAIが搭載されるのも、そう遠くなさそうですね。

田中氏:VAAKのビジョンは “予測ありきの社会を作る”です。弊社のシステムなら既存のカメラをすぐにAI化できるので、世の中の監視カメラがすべてAI監視カメラになるのは時間の問題だと思っています。

つまり、“AIによる監視社会の到来”がもうすぐそこに。

――これは、ディストピアという側面もありそうですが……。

田中氏:よくその話題にはなるんですが、データを取られるからディストピアなのではなく、データの使われ方によってディストピアに陥ってしまうという話ですよね。ディストピアでよくある行き過ぎた監視や、監視側のモラルハザードというのは、知らないところでデータを取っていたり、管理体制がずさんだったりすることによるものです。データが期待される形で利用され、そのメリットを享受できる透明性、そして悪用できない仕組みを作っていくことが、“正しい”監視社会への道ではないでしょうか。
イメージは、映画の『マイノリティ・リポート』の世界観です。

 

犯罪を予測して事前に阻止することが可能な世界を描いている映画『マイノリティ・リポート』。これを現実の世界で目指しているのがVAAKですが、デモを見たりお話を聞くかぎり「無理でしょ」とは思えません。

「今後は精度を高めていきたいのと、将来的にはスマートグラスにも組み込みたいですね。人がコミュニケーションしているときの表情や感情、環境を分析することで、またおもしろいデータが取れそうですし」(田中氏)

人の表情や瞳孔、感情というデータと、お店、AI監視カメラが連動したとき、一体なにが可能になるのか、どのような社会になっているのか、無限の可能性を感じます。

さらにVAAKは「無人レジ」の事業にも取り組んでいるといいます。先ほどのAI監視カメラから得られるデータと無人レジの相性は抜群ですし、実際の店舗に導入されたあとの世界を想像すると、ワクワクが止まりません。

取材・文:河村健司

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『Ledge.ai』編集部
レッジ エーアイへんしゅうぶ

株式会社レッジが運営する「発想と実装の間をつなぐ」がコンセプトのAI特化型Webメディアです。日々発表されるAI関連技術を、実際にビジネスの現場でどの程度、どのくらいの工数で、どのくらいの費用で活用できるのか、という視点で皆様にお伝えします。「Ledge」という単語には、「尖り」や「出っ張り」という意味合いがあります。最先端のAI関連情報を扱うメディアとして、尖った情報を発信していく。そんな思いをこめて、「Ledge.ai」と名付けました。

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