会議の場で、上司や先輩をうならせるような意見が言えれば、強く自分をアピールできるが、入って数カ月も経たない時点で、そんな意見を言うのはさすがに難しい。無理に言おうとしても、トンチンカンなことを言って、単に「まだ何もわかってない新人」と思われてしまうのが関の山だ。
そこで、海老原氏がすすめるのは、会議のたびに、最低1つは「質問」することだ。
「質問の内容は、高度なことでなくてかまいません。社内や業界独特の省略言葉などのわからない言葉について、『○○とはどういう意味ですか?』と聞いたり、『なぜ、これはメールではなく郵送しているのですか?』と素朴な疑問をたずねるという程度でOKです。新入社員の頃なら、初歩的な質問でも許されます」(海老原氏)
こうした簡単な質問を自分に課すことには、想像以上の効果がある。まず、1つは、毎回質問していると、周囲から「積極的な若手」だと見られることだ。たとえ簡単な質問だとしても、発言しない人と比べたら、印象はまったく違う。
「加えて、新人の素朴な疑問は、意外と問題の本質をついている」(海老原氏)という。たとえば、「なぜメールではなく、郵送なのか」といった疑問に対し、実は昔からしていただけで、メールに替えても何の問題もないと気づかされることがある。その発言をきっかけに、議論が活性化すれば、「なかなか良い質問をするじゃないか」と周囲から評価される。
また、ちゃんと話を聞かなければ、質問できないので、おのずと集中して会議に臨むようになる。だから、会議の内容もわかり、仕事の理解も進みやすくなるというわけだ。
議事録作成を通じて仕事の中身が理解できる
新入社員にとって、議事録の作成は2つのメリットがある。1つは、作成を通じて、会社の仕組みや仕事の内容が理解できるようになることだ。
「自分の会社はどんな組織構造で、物事を進めるにはどんなプロセスを踏まなければならないのか。キーマンは誰なのか。会議は、そうした会社の意思決定の仕組みの縮図といえます。議事録をつくっていると、その仕組みがわかってくる。これは、将来、仕事をスムーズに進める上で非常に重要なことです」(海老原氏)
もう1つのメリットは、「ビジネス文書の書き方を学べる」ことだ。議事録は、さまざまな人の目に触れるものなので、会議の要点をわかりやすく正確にまとめることが求められる。だから、提出すると、「ここがわかりにくい」「これが抜けている」など、上司から指導してもらえることが多い。
「実は、新人の頃にビジネス文書の書き方を指導してもらえる機会が意外とありません。だから、議事録作成は非常に貴重な機会になります」(海老原氏)。書き直しを命じられて、そのときは面倒に感じたとしても、長い目で見れば、必ず役に立つはずだ。
質問や議事録作成で、会議に慣れてきたら、さらにチャレンジしていきたい。その方法として、『世界で一番やさしい会議の教科書』などの著書を持つ、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの榊巻(さかまき)亮さんは、「冒頭で、今日の会議の目的を確認すること」をすすめる。
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