ホームレスが路上生活始める意外すぎる事情

多くは段階的に、ただ突然そうなる場合も

和歌山県・白浜の三段壁(筆者撮影)
ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2017年1月時点で約5500人(うち女性は約200人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内とは何か。本連載はホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る連載の第5回。

野宿生活者になる「引き金」

先日、和歌山県は白浜の景勝地、三段壁に行ってきた。三段壁は高さ50~60メートルにも及ぶ断崖絶壁で知られている。

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平日の昼過ぎに訪れたのだが、かなりたくさんの観光客がいた。家族やカップルで来ている人は多いし、海外から来たとおぼしき外国人旅行者もたくさんいた。観光客向けの食堂も盛り上がっている。三段壁は恋人の聖地と呼ばれている。それにあやかったグッズなどを販売しているお店も多い。

この崖のことは、大阪・西成で出会ったとある人から教えてもらった。三段壁は、彼が野宿生活者になるターニングポイントになった場所だったのだ。

野宿生活者へのインタビューで最も定番な質問の1つが、

「どういうキッカケでホームレスになったんですか?」

というものである。

「借金がかさみ、家賃を滞納して立ち退きさせられて……」というのが根底の原因である場合が多い。しかし借金まみれの生活をしていても結果的にほとんどの人は野宿生活者にはならない。「野宿生活者になる『引き金』はなんだったのか?」。これに対して最も多い答えは、

「いつの間にかなっていた」

というものだった。野宿生活者はもともと日雇いの肉体労働者だった人が多い。日雇い労働を受け付けているドヤ街などで仕事をえる。宿とメシがついた飯場仕事が見つかったときはもちろん仕事の合宿所で寝起きする。仕事がないときには、ドヤ(簡易宿泊所)を借りて生活する。仕事がないときもドヤを借りっぱなしにする人もいるし、長く離れるときはいったん退出する人もいる。

次ページ段階的に野宿暮らしの割合が濃くなっていく
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