「スマホ漬け」の子を性根からたたき直す知恵 アップルも「依存症対策」に力を入れ始めた
最近は注意を促す報道や番組も増えているため、わが子がネット依存になることを恐れて、「子どもにスマホを持たせたくない」「パソコンの利用を禁止したほうがいいのでは」と考える保護者も多い。しかし、その考えはあまりおすすめしない。家庭には、スマホやパソコン以外にも学習用タブレットやゲーム機などネットが使える端末は多くある。もし子どもが隠れて使うと、トラブルに直面したとき親に相談できず、問題が深刻化する可能性があるからだ。
インターネットをまったく使わせないのは、現実的ではない。ネット依存を遠ざけたければ、子どもの「セルフコントロール力」を養ったほうがいい。
たとえば、ネット依存の治療に長けた医療機関が採用している「認知療法(自分が置かれている状況を冷静に見直す治療法)」が参考になる。もし自分の子どもがネット依存症の疑いがあるようだったら、一度ネットやゲームの利用時間を紙に書かせて、可視化させたほうがいい。そうやって「置かれている状況を客観視」させることが、セルフコントロール力の向上につながる。
ちなみに冒頭で紹介した佳祐くんも、その後、なんとかネット依存専門の外来で認知療法を受けられるようになった。彼の場合、毎日ネットゲームのプレイ時間を記録することで、一日のうち寝る以外はゲームをしている状況や、これまで自分がゲームに費やした時間の総量を把握して、われに返ったそうだ。ゲームでは強くても学校に行かず、友達もいない自分の状況を客観視して、「ゲームはやめたほうがいいかもしれない」と言えるまでに変わった。まだ以前のように学校には通えていないそうだが、これから徐々にゲームのプレイ時間を減らしていけば、正しい生活リズムを取り戻すことはそれほど難しくはないだろう。
「他に熱中できるもの」を持つことも大事
また、ほかに「やりたいこと」や「将来の目標」がはっきりしている子は、依存症にはなりづらい。逆に、やりたいことや目標などがない子ほど、友達の誘いや誘惑に引っかかってしまい、ズルズルとネットを使い続けて依存症になる傾向にある。
もし自分の子どもが後者であるなら、積極的に目標ややりたいことを見つける手助けをすることをおすすめする。たとえば子どもが受験を予定しているなら、志望校の学園祭や説明会などに参加させて、「この学校に行きたい」という気持ちをかきたてるなどだ。
子どもが小さい場合は、目標を持たせることが難しいこともある。実際、わが家でも当時まだ幼稚園児だった息子が、夫のダウンロードしたスマホゲームにはまってしまったことがあった。ゲームをアンインストールしても、欲求は収まらなかった。しかし、息子が小学校に入学して、けん玉にはまってからは「ゲームをやりたい」とねだらなくなった。けん玉では他の子どものトップに立てたため、1人でゲームをしているより楽しかったようだ。
ほかに夢中になれることがあれば、子どものゲームやネットの優先順位は低くなる。外遊びや習いごとをさせるなど、子どもが小さいときは可能なかぎりスマホを使えない環境におくといいだろう。
ネットやスマホは非常に魅力的なツールだ。大人でもゲームやSNSに熱中しすぎる人は少なくない。大人でさえのめり込みすぎるものを子どもだけで使いこなせるようにするのは難しいのだから、きちんとルールを作って、保護者が見守りながらうまくコントロールできるよう練習させることを推奨する。ルールを作る方法については、過去の記事「子どものスマホデビュー、知らないと怖い基本」を参考にしてほしい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら