キッコーマンが米国に根付かせた「日本の味」 和食ブームを「当てにしない」成長戦略の中身
米国に進出してからの数十年間、家庭の中に入り込むために徹底してきたのは、調味料としての “現地化”だ。特に進出当初から、「肉料理に合う」というアピールに力を入れてきた。商品開発も現地の販売会社が独自に行っており、「テリヤキ」という、日本でいうところのバーベキューソースや、レモンやライムの果汁を配合したしょうゆも売れ筋だという。
「価格勝負をする気はない」
また、北米事業は営業利益率が20%に達し、利益率6%の国内事業に比べ、キッコーマンにとって圧倒的に“おいしい市場”でもある。背景にあるのが、競合メーカーの少なさだ。
国内には地場企業などを含めると1200社を超えるしょうゆメーカーがあるといわれるが、米国ではヤマサ醤油の子会社・サンジルシ醸造や現地のメーカーなど競合は数社程度。価格競争に陥りにくいことが、収益性の高さにつながっている。
高単価であることを売りにしている面もある。米国の多くのスーパーマーケットの棚には、「LA CHOY(ラ チョイ)」というブランド名で現地メーカーの「化学しょうゆ」が並ぶ。キッコーマンのしょうゆは発酵・醸造に半年程度かかるのに対し、化学しょうゆは醸造の過程を簡略化、添加物などを加えて仕上げるため数日間で完成するという。
製造方法の違いなどから、キッコーマン製品の小売価格は400ミリリットル程度の容量で1ドル弱ほど高い。また、ラチョイのパッケージには「PREFERRED OVER KIKKOMAN」(キッコーマンより好まれています)と表記され、真っ向勝負を挑まれている。だが「われわれは本醸造、無添加という点を売りにしている。価格勝負をする気はない」(現地販売会社の島田政直社長)。
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