「パラスポーツ」専用施設が誕生した舞台裏 練習場所の確保にこれまで悩まされてきた

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ボッチャの合宿での様子。左から2人目が杉村主将(筆者撮影)

リオデジャネイロ・パラリンピックでチーム銀メダルを獲得した日本代表の杉村英孝主将は「こうした場所があるとうれしいし、頑張ろうかなという思いになります。

私たちにとっては空調とかトイレとか重要な問題を解決してくれるので、強化につながると思います」と笑顔を見せていたのが印象的だ。

やはり、練習環境に苦労していることが推察される。

体育館はボッチャのほか、肢体不自由者卓球、車いすフェンシング、車いすバスケットボール、ウィルチェアーラグビー、ゴールボール、ブラインドサッカーが主に使用する。そのためのラインが色分けされてすでに引いてあったり、すぐ引けるように点を打ってある。

また、トレーニングルームにはパラ・パワーリフティング専用の器具のほか、パラスポーツ選手に対応したトレーニング器具が置かれている。

「掃除」の課題も残るが・・・

選手の悩みはだいぶ解消されているようだが、このアリーナの一番の課題は「掃除」なのだという。車いす競技が既存施設での練習を断られる理由が、先述したように傷や汚れ。既存施設で練習した場合、たとえば4時間とっても掃除に1~2時間取られることも珍しくなったという。

ウィルチェアーラグビーの練習の様子。奥側が車いすバスケ(編集部撮影)

「床はワックスで保護されていますが、ウィルチェアラグビーでは松脂を使用するので、どうしてもタイヤ痕が残ります。また、ぶつかり合いで転倒して傷がつくこともある。

特殊なクリーナーを使うことで今まで20人で1時間かかってきた掃除を4人で1時間ぐらいまでにはできたのですが」という金子氏は続けて「これから掃除道具も工夫して、最も効率的な方法を見つけたいですね」と、タイヤ痕を落としながら笑顔をみせた。

「今後は掃除をお手伝いいただく方をボランティアとして募集できるといいかもしれませんね」と金子氏。「パラスポーツ自体も見学したり体験していただきながら、掃除に参加してもらうことで、応援して競技を好きになってもらえたらいいのですが」と続けた。

筆者もその部類だが、「自分の部屋も掃除しないのに」という方、体育館といういつもと違う空間でスポーツを見たりやったりしながら「掃除」してみるのも、楽しい経験になるかもしれない。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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