「統一後の実権を握るのは金正恩」という悪夢

米朝会談が示唆する不安な未来

世界のメディアを震撼させたのは、米韓軍事演習中止よりも、むしろ、「在韓米軍撤退の可能性」である。いまの段階では、そっちのほうがニュース価値としては、格段に大きい。もちろん、遠い将来の可能性ではあるとしても、である。

この米朝軍事演習中止、在韓米軍撤退など、今後の米朝首脳会談問題をめぐって、米メディアは、これからの中間選挙や2020年の大統領選のテーマとして、格好の材料になるとみている。トランプ大統領はそれを承知の上で、受けて立つであろう。

もし、金正恩氏が完全非核化に何らの行動を起こさないとすれば、トランプ大統領と金正恩委員長は、次回の米朝首脳会談で、侃々諤々の議論を展開するようなことになるかもしれない。そのほうが国際政治では、健全かつ論理的であり、そういう首脳会談のシリーズは、間違いなく、トランプ大統領の得点になり、票につながるだろう。

統一した朝鮮半島の実権を握るのは誰なのか

ポンペオ国務長官は、CIA長官時代、北朝鮮が核武装をテコに、韓国をコントロールする形で、南北統一に向かうリスクに警鐘を鳴らしていた。

将来、在韓米軍が撤退することになり、その時、すでに朝鮮半島の非核化が進んでいたとすれば、ポンペオ氏が予測したように、北朝鮮が韓国をコントロールする形で朝鮮半島統一がなされる確率は決して低くない。韓国が「在韓米軍撤退」という発言に驚愕したのは、まさにその悪夢を感じとったからである。

むろん、トランプ政権はそのような形での統一を望んでいるわけではないだろう。しかし、かりに金正恩委員長が統一された朝鮮半島の実権を握るようなことになれば、別のリスクを真剣に考えなければならない。ハイテク企業へのインパクトだ。

ハイテク企業といえば、韓国のサムスングループの存在が大きい。スマートフォン、フラッシュメモリなどの半導体で世界有数のハイテク企業であり、米国市場でも大きなパワーを持つ。

もし統一が北側主体に行われ、将来、韓国のハイテク巨大企業を実効支配するようなことになれば、それは、とりもなおさず、米国の安全保障上、大問題になるのだ。

北朝鮮問題は「短期的な非核化促進のプロセス」の議論だけでなく、「長期的なポスト非核化時代の体制」も見通さなければならない。その複雑さをトランプ大統領も当然、認識していることだろう。

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