「ご縁って不思議なものですね。40歳を過ぎて婚活を始めたときに、結婚は恋愛と違う。結婚は生活なんだから条件は大事だと思っていたのに」
事務所に成婚退会の手続きにやって来た川嶋由美香(45歳、仮名)は、言った。由美香が選んだ相手は、1つ年下の岡村泰雄(44歳、仮名)。年収は500万円弱だったので、上場企業で役職についている由美香のほうが稼いでいた。
2人の家は車や電車で3時間近くかかる中距離恋愛。お互いが1日休みでないと会えない距離だった。
前向きにとらえるところが、気持ちを楽にさせてくれた
「新居はお互いが仕事に通える中間地点を選んだのだけれど、それでも通勤に1時間半かかるんです。彼は今お母さんと2人暮らし。お母さんも高齢だから、ゆくゆくは同居をする。そうなったら私は通勤に2時間半かかるので通いきれないから、そのときは会社を辞めようと思っています。彼に“今の仕事を辞めて転職したら、同じお給料は取れなくなるよ”と言ったら、“子どもを作るわけではなし、田舎暮らしだからなんとかなるよ”って。こういうなんでも前向きにとらえるところが、私の気持ちを楽にさせてくれるんです」
由美香は、柔和な表情で言った。半年前、私の相談所を訪れたときのどんよりとした暗い雰囲気とは、別人だった。あのときは、日々の仕事やこれまでの婚活に疲れ切っていた。
「ずっと仕事だけをしてきて、40歳から婚活を始めました。すでに2つの結婚相談所を渡り歩いて20件近いお見合いをしたけれど、理想の相手には出会えなかった。ここが3件目です。今、実家暮らしなんですが、とにかく1日も早く出たい。結婚が決まれば、大手を振って出ていけるから」
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