2度目のデートで遊園地に行ったときのことだ。
「観覧車に乗ったんですね。私は高所恐怖症だったんですが、男性との遊園地デートは生まれて初めてのことで、『乗りましょう』と言われて断りきれなかった。でも、上に上がっていくにつれて、怖くてずっと目をつぶって固まっていました。そしたら何を勘違いしたいのか、その男性は私の手を握り体をすり寄せて来た。振り払いたくても密室だし、怖いし。早く1周して下に降りないかと、じっと耐えていました」
降りてからは、「観覧車で酔ってしまったみたいです」と、近くのベンチで休ませてもらった。そこでも彼はずっと手を握ったまま。そんなときに仰天の言葉を発してきた。
「由美香さんは、女性だからわからないかもしれないけれど、僕はもう興奮してしまって、アソコがパンパンで痛い。ホテルに行きたい」
男性経験がなかった由美香でも、彼の下半身が今どんな状態になっているのかは、想像がついた。
「ぐったりしていたうえに、嫌悪と恐怖を感じました。一刻も早く彼から離れたかった。帰りの車に一緒に乗り込むのも嫌だった。でも私が何か言って逆上されたら怖い。相手を刺激しないように、『本当に気分がすぐれないので、このままそっと帰らせてください』と言ったんです」
帰り道、彼は車を運転しながらホテルの横を通過する度に、チラチラとホテルを見ていたので、入られたらどうしようかと、また恐怖だったという。
このデートを終えて、当時の仲人に一部始終を話し、“交際終了”を出したのだが、この度また由美香を見つけて、申し込みをかけてきたのだろう。
生理的に合う、合わないはあると実感した
この話を聞き、当該男性は早々にブロックした。
その後は気を取り直し、来ていたお申し込みから会ってみたい男性と、順次お見合いをしていった。
そのなかで、7人目にお見合いをした57歳の公務員、久保田正治(仮名)と交際に入った。
「一回り上ってどうなんだろうと最初は思ったけれど、話題も豊富で、お会いしていて楽しい。エスコートの仕方もとてもスマートなんですよ」
由美香は、彼をとても気に入っていたようだった。そして3回目のデートで、彼の家に招待された。
「リビングのソファに座って映画を見ていたときに、軽く肩を抱かれたり、手を重ねられたりしたんですけど、それが不快ではなくて、逆にうれしかった。観覧車の彼のときとは大違いでした」
男性経験のない由美香だったが、“生理的に受けつける”“受けつけない”という言葉をよく聞くが、こういうことかと実感したという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら