実家から会社までは、バスで30分弱。通勤には便利だというのだが、「実家にいると心が休まらない」と言った。
「子どもの頃から父と母の仲が悪くて、口を開けばケンカをしている。職人だった父は高齢で体の自由がきかないのに、何でも自分でやろうとするんですね。でも、できないから、物を落としたり転んだり周りの手を焼かせる。そんな父に、『だからやるなっていつも言ってるじゃない』と母が語気を荒げるので、ケンカが始まる。母は1回り下だから、まだまだ元気なんですね」
さらに、母親に関してはこんなことも言った。
「母は私にもダメ出しをする。子どもの頃から共感してくれたり、褒めてくれたりしたことが一度もない。『調子に乗るな』とか、『できるわけがない』とか、ネガティブな言葉しか言わない人なんです」
目鼻立ちが整った、誰が見ても美人の由美香なのだが、そんな家庭環境で育ったせいか、学生時代や20~30代の頃は、自分にまったく自信が持てなかったという。ファッションやヘアメイクに気を使うこともなかった。
「髪型もショートにして男の子のようでした。昔は太っていたから、足を出すのも嫌でスカートを履いたことがなかった。20代は好きなクラシック音楽に没頭して専門学校に通い、仕事と音楽の日々、30代は仕事一筋で、男性と付き合うこともないままに40歳になりました」
40歳で心のブロックを解いたことが転機に
そんな由美香が、なぜ40歳を過ぎたときに婚活を決意したのか?
「ある心理カウンセラーとの出会いがきっかけになりました。心にあるブロックを解いてもらった。そして、その方の紹介で、ファッションコンサルをつけたんです。糖質制限ダイエットをして体重も落としました。スカートが履けない、背中が見せられない、足が出せない、そんなブロックもカウンセリングで解いてもらって、自分をどんどん変えていきました」
自分が変わったことが自信になり、結婚相談所に入会したが、なかなかいい人には巡り会えず、ここしばらくは婚活を休んでいた。しかし、あるときこの連載を読んで、再び婚活をする気持ちになり私を尋ねてきてくれた。
入会し登録をすると、45歳という年齢にしては、驚くほどの申し込みがかかった。それだけ由美香が美人だったからだろう。来た申し込みは順次知らせていたのだが、あるとき、由美香から連絡が入った。
「×○×○×○番の男性ですが、ブロックしていただけませんか?」
前の相談所でお見合いをし、お付き合いした男性なのだという。そのときにとても嫌な思いをした。
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