岡田武史氏「新スタジアム構想」の意外な狙い 子ども食堂の領域にも近いビジョンがあった
栗林:このこども食堂は「ごはん食べる気もしない」「テレビ見る気もしない」っていう話を山田さんから聞いたのがきっかけなんです。私が会うたびに、山田さんの家でなんかやろうよなんかやろうよってけしかけているうちに、彼が「うちを使ってこども食堂をやりたい」って。
山田さんがやりたいことを私たちにつぶやいてくれたので、みんなが山田さんを応援しようと言って始まりました。今は山田さん自身が、月2回のこども食堂をとても楽しみにされています。本まで出ちゃったんですよ(山田和夫『妻が遺した一枚のレシピ』青志社、2015年)。
岡田:本まで出てるの!(笑)
栗林:山田さんは、こども食堂を始めてから3回入院してるんですけど……。
岡田:えっ!?
地域で最期を迎えられるつながりが生まれている
栗林:ええケガで。バイクで事故ったり。そのたびに、こども食堂でつながったみんながお見舞いに行ったりしたんです。
それから、この近くにある「池袋こども食堂」は、91歳のおばあちゃんの家を借りて開催しているんですけど、このおばあちゃんのお見舞いや介護も、こども食堂にかかわっているみんなでやっているんです。
結局、子どものためにって言いながら、山田さんやおばあちゃんが、地域で最期を迎えられる、そういうつながりに発展しています。
岡田:山田さんたちの居場所にもなっているんですね。わかるなあ。だってさっき山田さん、「こども食堂の後でみんなで飲むのが楽しい」って言ってましたもん。「子どもたち早く帰んないかな~」って思ってるって(笑)。
栗林・湯浅:(笑)
湯浅:この前、兵庫県で「子どもは嫌いだ」って言いながらこども食堂やってるっていう人に会いましたね(笑)。嫌いで続けられるわけはないんですが、それだけ大人のつながりも生まれるってことなんだと思います。
ふだん子どもと2人っきりですごしているお母さんたちは、子どもたちだけで遊んでくれて、お母さんたちだけで話せるこども食堂の空間が楽しい。それで「最後までなかなか帰ろうとしないのは大人たちだ」って話も、よく聞きますね(笑)。
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