岡田武史氏「新スタジアム構想」の意外な狙い

子ども食堂の領域にも近いビジョンがあった

岡田:それで、そのときは「誰だかわからない『あしながおじさん』が寄付してくれた」という形にして3万円出して、その後に返還不要の給付型奨学金を300万円でつくり、母子家庭の子はスクール受講料を無料としました。

でも、この間の報道を見ていると、サッカースクールのおカネを払えないどころか、ごはんもきちんと食べられない子がいるというわけでしょう。これだけみんな「豊かだ、豊かだ」と言って、うちもスポンサーからたくさんの資金をいただいていて、その脇にそんな子がいるのに、こんなことしてていいのか、と。

それで先の方針発表会で言っちゃったわけです。

地元の方たちの力になる「孫の手活動」

もう1つ宣言したのが「孫の手活動」です。

クラブの子どもたちが月に1回、地域の人たちから要望をもらって、お手伝いにいく。たとえば庭の木を切ってくれというので、ハイ5人。ちょっと家具を動かしたいというので、ハイ2人。そうやって地元の方たちの力になれるような活動です。

湯浅:便利屋さんですね。

「今年の方針発表会で『こども食堂をやる』って宣言しちゃったんですよ」と笑う岡田武史さん(撮影:筆者アシスタント)

岡田:クラブに来ている子どもたちをホームステイさせる先を探したことがあるんですが、みんな手を挙げない。めんどくさいからやりたくないんですね。それで高齢者のホームの空き部屋に入れてもらおうとしています。そうすると高齢者の人たちも明るくなるし、子どもたちにもいい影響がある。身近に高齢者がいないから、老いるというイメージがないみたいでね。

だからぼくは、ゆくゆくはメンター制度みたいなものをつくりたいんですよね。子どもたちが試合に負けて落ち込んでいたら、人生経験豊富なお年寄りが励ましてくれる。お年寄りが病気になったらその子が見舞うという、そんなメンター制度です。

栗林:今ここ(あさやけ子ども食堂)は、まさにそういう場所になっています。

山田さんは、お連れ合いを亡くされて、この家で独りぼっちだったんですね。自宅でパン屋さんをやっていて、人がたくさん来るにぎやかなところだったんだけど、パン屋さんも辞めちゃって、一人暮らしで誰からも電話かかってこなくなっちゃって……。

次ページ独りぼっちだった山田さんを応援しようと始まった
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ徹底検証<br>日本は第2波に耐えられるか

米国やブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、日本は感染者も死者も圧倒的に少ない。その理由はいったいどこにあるのでしょうか。政策面、医療面から「第1波」との戦いを検証。「第2波」への適切な備え方を考えます。