岡田武史氏「新スタジアム構想」の意外な狙い 子ども食堂の領域にも近いビジョンがあった
湯浅:子どもたちにやたらとモテてましたが(笑)、「要町あさやけ子ども食堂」を見学されて、いかがでしたか?
岡田:いやあ、想像してたのとまったく違いましたねえ。こんなににぎやかで、笑顔あふれる場所とは思わなかった。失礼ですけど、もうちょっとこっそりひっそりした場所かと……。
湯浅:「すみません」と言いながら入ってくるような……。
岡田:そうそう。
栗林:ここは、地域の人たちがみんなでもり立ててる場所ですからね。主催者の山田和夫さんのお人柄でもあるでしょうけど。
岡田:ここにきて本当によかったと思うのは、山田さんと話していて、きっかけは子どもの貧困問題なのかもしれないけど、さみしい高齢者や、なんか触れ合いが足りないと感じている人たちだったり、結局子どもだけじゃなくてすべての人が救われてるっていうのが、わかったことですね。
「おカネがなくて遠征に行けない子」を出していいのか
湯浅:岡田さんは、そもそもどこでこども食堂を知ったんですか?
岡田:いつだったかなあ。2~3年前ですかね。でもそのときは「地域の子どもを集めて食事する場所」としか思ってなくて。それが今年の1月か、もしかしたら栗林さんの記事だったかもしれないんだけど、子どもの貧困問題にもリンクしていることを知ったんです。
湯浅:珍しいパターンですね。子どもの貧困問題のイメージから入って、地域交流拠点でもあることに気づくという流れの人が多いんですけど。
岡田:ぼくのスクールにも母子家庭の方がいましてね。遠征の旅費とかは、みんな自分で出さないといけないんだけど、遠征の前日にコーチが「一人欠席です」と言ってきたことがありました。「どうした?」と聞いたら、「おカネが払えなくて、でも子どもに言えなくて『行く』と言ってしまっていた。直前に申し訳ありません」と言っている、と。
それでぼく「ちょっと待て」と。うちの企業理念は「モノの豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」です。そういう企業理念を掲げている会社が、おカネがなくて遠征に行けないという子を出していいのか、と。
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