「ホンダジェット」新型機で旋風拡大できるか 航続距離を17%改善、念願の国内販売も開始

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「ホンダジェット エリート」のキャビン。現行機に比べ、内装の質感を向上させている(写真:ホンダ)

日本の空港では、小型ジェット機に関するインフラ整備や空域管理が整っていないことも課題だ。全日本空輸(ANA)の元副社長である、日本ビジネス航空協会の岡田圭介会長は、「大手航空会社が運航する定期便が中心の日本の航空業界だが、国産機のホンダジェット発売や東京オリンピック開催は、整備を加速させるチャンス。ビジネスジェットはスピード感あるビジネスにおいて、欠かせない存在になる」と期待を語る。

ホンダジェットが小型ジェット機のデリバリーで世界首位を達成できたのはなぜか。生産が安定し、バックオーダーを順調にこなしていることもあるが、何よりも性能への評価が非常に高いことが理由である。

独創的なエンジン配置 

ホンダジェットを特徴づけるのは、そのエンジンだ。航空機の世界では、航空機メーカーは機体をメインに設計し、エンジンは他社のものを取り付ける場合がほとんどだ。しかし、ホンダは自前にこだわり、米GE(ゼネラル・エレクトリック)とエンジン「HF120」を共同開発した。「エンジンが心臓」と考える自動車メーカーならではの発想だ。

ホンダジェットと同じカテゴリーに属するセスナの「サイテーションM2」(写真:TEXTRON AVIATION)

通常、小型ジェット機のジェットエンジンは、胴体後部の両端にぴったりくっついていることが多いが、ホンダジェットの場合、左右の主翼の上に浮かぶような形で配置されている。これは空力学的に、機体を浮上させる力が働きやすくなるだけでなく、機体の壁の厚さを抑え、広い機内空間と静粛性を両立できる理想的なデザインとされる。

「ホンダジェット」のエンジンは主翼上に配置されている。写真は現行機(撮影:大澤 誠)

ただ、主翼上のどこにエンジンを配置するべきか、最適な場所を見つけ出すのは決して容易ではなかった。イタリア・ミラノの大学でジェット機の設計を行う航空工学科の学生は、「この大胆なエンジンの配置を実現できたことこそ、トップの地位に躍り出た理由だろう」と語る。

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