ホンダ、航空エンジンで「シェア3割」の野望

機体販売で性能の良さをアピールできるか

ホンダが開発したビジネスジェット。今年6月に量産1号機が初飛行に成功した

航空技術の研究を始めておよそ30年――。ホンダの「空への夢」がもう少しで現実のものとなろうとしている。今年6月には量産1号機が初飛行に成功。同社では来年1月から3月にかけて、世界の安全基準ともなっている米連邦航空局(FAA)から型式証明が得られると見込んでいる。自社開発のビジネスジェット(パイロットを含めて7人乗り)は北米を中心に、法人と個人からすでに100機を超える受注を獲得。型式証明が取れ次第、顧客への納入を始める予定だ。

売るのは航空機だけではない。ビジネスジェット用に開発した自社の小型ジェットエンジンの販売も計画している点が、航空機事業のもうひとつのポイントだ。10月16日に行ったエンジンの説明会で、本田技術研究所の藁谷篤邦取締役は、「将来的には少なくとも3分の1のシェアを取りたい」と語った。

すべてをゼロから作る

受注した100機のうち65%が北米、残り35%がヨーロッパ向け。アジアでの受注獲得も狙っている

航空産業でエンジンはエンジン専門、機体は機体専門のメーカーがそれぞれ開発している。そして、機体メーカーは自社の機体に最適なエンジンを選択するのが一般的だ。だが、ホンダでは当初からエンジンと機体の両方の開発に取り組んできた。ホンダらしい飛行機を作り上げるために、「すべてをゼロから作り上げる必要がある」との判断からだった。

ホンダが照準を定める座席数が5から15席の小型航空機用エンジンの市場は、現在、米国のエンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニーとウィリアムズ・インターナショナルがシェアを2分している。そこに入ることで3分の1のシェアを奪おうというのだから、かなり大胆なもくろみだ。投入するのは、エンジン事業の合弁相手である米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同開発した「HF120」。小型軽量化を進めたことで、競合の最新機種に比べて10パーセント以上燃費が良く、オーバーホールの間隔も通常より2割ほど長い5000時間を実現している。

このエンジンは昨年12月、機体に先行してFAAから型式証明を取得済み。例えば、氷や鳥が飛び込んだことを想定した試験もパスしているが、こうした設備もFAAから認証を受けている必要があり、ゼロから事業を立ち上げたホンダが単独でエンジンの型式証明を取ることは困難だった。それだけに、60年に及ぶ航空機製造の実績を持つGEと合弁を組んだ甲斐があったといえる。

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