ホンダ、航空エンジンで「シェア3割」の野望 機体販売で性能の良さをアピールできるか

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ホンダとGEで共同開発したジェットエンジン。自社開発のジェット向け以外の外販がポイント

型式証明という大きなハードルを乗り越えて、今度は販売という高い壁が待ち受けている。実際、藁谷取締役も「この業界は疑り深いので、実際の物や実績がないとなかなか信用してもらえない」と認める。苛酷な環境でも高い信頼性が求められる航空エンジンの販売は実績によるところが大きい。

こうした中でポイントになるのが、機体とエンジンを1社で開発するという独自のビジネスモデルだ。ホンダにとって、自前のエンジンを搭載したビジネスジェットは、収益源であるとともに“空飛ぶ広告塔”ともいえる。顧客に対する機体の納入が始まり、燃費などエンジンのカタログ性能が実証されれば、エンジン自体の販売にも弾みがつくとみている。

機体100機、エンジン400基にらむ

既に自社のビジネスジェット100機向けに200基のエンジンを受注しているが、早期にもう100機分、200基の受注を他社からも獲得したい考えだ。米シエラインダストリーズ社とは、中古機のエンジンをホンダ製に載せ替える計画で合意している。だがこれはあくまで計画であり、受注が確定したわけではない。勝負はこれからだ。

昨年のビジネスジェット機市場規模は、小型から大型までの機体数で700機弱、エンジンだけだと金額ベースで1.2兆円。これはリーマンショック前のピークに比べて約半分の水準に落ち込んでいる。ただ、市場は底を打ち、反転に向かうとホンダは見ており、狙いを定める超小型機(ベリー・ライト・ジェット)市場は、足元の年間出荷台数200機が、20年には300~350機へ拡大するとの見通しを立てている。

エンジン事業は、販売だけでなく、保守でも安定的な収益があげられることから、一定のシェアを獲得できれば収益面での効果も大きい。足かけ30年をかけて取り組んできたエンジン屋の夢は、勢いよく空へ舞い上がることができるのか。来年から納入開始を見込むビジネスジェットとともに、エンジンの販売動向もホンダの航空機事業の大きなカギを握っている。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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