NHKで、まっすぐ家に帰らない「フラリーマン」なるサラリーマンの生態が話題になっていたが、自分は「フラフラ」する場所さえ思いつかない。最初の内は、飲みに行ったりもしたが、そんなに一緒に飲み歩ける友人がいるわけでもない。仕方がないから、まっすぐ帰るが、家にいても本を読むぐらいしかやることがない。
友達も趣味もないので、休みの日も家にいるが、最近、共働きの妻は仕事がやたら忙しいらしく、週末もほとんど出掛けている。それが何とも腹立たしく、「いつ帰るんだ」「なんで、そんなに出掛けるんだ」などと愚痴ってしまう自分がいる。
家事はすべて妻頼み。妻は、「身の回りの世話から人間関係まですべてが妻依存」といら立ちを隠さない。これで、完全に退職して、仕事を辞めたら後はどうなるのか。妻は、「身の毛がよだつほど、恐ろしく、憂鬱な気分になる」とため息をつく。
小遣いも減少
夫の妻依存は現在に始まった話ではない。妻に先立たれた男性はしぼむように生気を失うというのはよく聞く話だ。第一生命経済研究所の研究では、配偶者と死別し、一人暮らしをしている高齢者の幸福度は女性のほうが高く、女性の場合は死別後、友人と過ごす時間が増加するのに対し、男性は一人で過ごす時間が大幅に増加しているという結果だった。
それでも、地縁血縁のあったころは、近所の知り合い、幼なじみ、学校の同級生、地域の仲間など、男性でも、妻以外のつながりを維持することはそれほど難しくはなかった。そうした縁も薄れ、「つながり」を作るハードルは限りなく上がっている。
そこにオジサンを取り巻く環境の厳しさも追い打ちをかける。オジサンの小遣いはバブル時代は7万円台だったが、今は3万7428 円と半減(2017年、新生銀行調べ)。妻がママ友や友達とフレンチのランチを楽しみ、ネットワークを構築する一方で、夫は平均590円のランチ(同)でしのいでいるわけで、趣味や友人にかけるおカネもあまりない。最近はコンプライアンスもうるさく、浮気も許されないご時世だ。
そういう事情に加えて、そもそも男性は、女性と比べて圧倒的に「友人関係を大切にしない」という傾向がある。民間のある調査によると「女性は『子どもを通じた友人』との付き合いもしつつ、『学生時代の友人との付き合い』も連綿と続け、ライフステージごとに(つながりを)増やしている」一方で、「男性は30代以降、社会人としてのキャリアを積む年代で『学生時代の友人』とは急速に疎遠になる」という結果だった。
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