疲れやすい人は「呼吸」の重みをわかってない そのカギはお腹周りにある

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脊柱と体幹をよりしっかり支えるためにも、アスリートに限らず、息を吐くときもお腹を膨らませた状態をキープできればベスト。

この「息を吸うときも吐くときもお腹を膨らませる」呼吸こそ、われわれがスタンフォードで行う「腹圧呼吸(または英語の頭文字をとってIAP呼吸)」と呼ぶ疲労予防メソッドです。

先述したように、息をゆっくり吸うことで肺を膨らませて横隔膜を下げ、またその状態をキープすることで腹腔を上から押してお腹を膨らませることができます。

「お腹の内側から圧力」がかかると、それを押し返そうとして「お腹の外側からの筋力」も働きます。このダブルの力で、体の中心(体幹と脊柱)がしっかりと安定し、姿勢が整う、というわけです。

とはいえ、いきなり「呼吸時、つねにお腹を膨らませる」のは至難の業で、選手たちにはまず座って腹圧呼吸を練習させています。

体内圧力が高まっていることを実感するためにも、次の手順で行います。

①イスに座って、脚を拳2つ分くらい開く。
②両脚の付け根に指先を差し込む。
③鼻から5秒かけて目一杯息を吸い、脚の付け根に差し込んだ指先を押し返すようにお腹を膨らませる。
④5~7秒かけて口から息を吐く。このとき、膨らんだお腹が指先を押し返す感覚をできるだけ保ったまま息を吐く。
⑤息を全部吐ききったら一度お腹をゆるめて、③に戻る。③と④を5回くり返す。

疲労を防ぐチャンスは「1日3万回」

呼吸というのは、体の働きの中でも“数”的にも“内容”的にも非常に大きな要素を占めています。

人は平均、1分間に15~20回も呼吸しているといわれ、1日に換算すれば約3万回です。呼吸をしないと間違いなく5分程度で命を落とします。

まずは先ほどの方法で腹圧呼吸を練習し、感覚をつかめたら手を使わずに立って行いましょう。そうやって息を吸うときも吐くときも、お腹を固く膨らませることを意識し、習慣にする――生命に不可欠なのに無意識にしがちな呼吸を、意識的に腹圧呼吸にシフトすることで、体を劇的に変えるチャンスが生まれるのです。

また、腹圧呼吸をすると1分間の呼吸回数を6回程度に落とすことができます。このゆったりとした呼吸により自律神経が整う、という副次的なメリットも生まれます。

とにかく、呼吸するときにお腹を膨らませることを意識していただきたいと思います。

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