日本と海外でこんなにも違う高速道路事情 最高130km/hが出せる国も少なくない

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海外の高速道路は日本同様、山岳区間や悪天候時には最高速度が抑えられているし、国によっては、夏季と冬季で最高速度が異なっていたり、免許取得から日が浅い場合には最高速度が抑えられていたりするなど、さまざまなバリエーションがある。

ただし、大型のトレーラーは最高速度が80km/hに制限されている国が多く、普通自動車と50km/hもの差があるが、遅い車は走行車線をキープし、追い抜き車線はその名のとおり低速車を追い抜くときにしか走行できないという当たり前の原則が忠実に履行されているため、危険を感じることは一度もなかった。

ブルガリアの最高速度。こちらも120km(2011年8月 筆者撮影)

盛り土や高架橋により周囲より高い部分を走ることが多い日本の高速道路に比して、欧米諸国では高速道路も平地を走る区間が多く、路肩も広いことや自動車の走行性能の基準の違いもあって、100km/hくらいのスピードで走っているつもりで、スピードメーターを見るとゆうに120km/hを超えている、ということもしばしば経験する。

とはいえ、大きな潮流としては、速度をめぐる状況は厳しめになっており、かつては速度無制限が売り物だった、ドイツの高速道路アウトバーンも、EUの拡大で利用者がドイツ国民ばかりとは限らなくなっていることもあってか、安全などの観点から多くの区間で130km/hが推奨速度とされており、ドイツならいくらでも飛ばせるというのは神話になりつつある。

欧州の通行料金も有料や値上がりの傾向

ドイツの高速道路のもう一つの変化は、原則無料だったアウトバーンにも有料化の波が押し寄せていること。ドイツは、国境を越えて西ヨーロッパと中部ヨーロッパを結んで走る他国籍の大型車の往来が激しいが、それらが走ることによるインフラの整備コストや排出される排気ガス対策コストなどを負担させることを目的に、大型車ではすでに有料化されており、乗用車への適用もたびたび議論の俎上に載せられている。

イタリアでよく見かける道路をまたいだ形で造られたサービスエリア(2018年3月 筆者撮影)

特に環境対策として移動手段を道路依存から鉄道へとシフトさせようとするモーダルシフトの推進には、無料の高速道路を有料にすることでシフトを促すという施策の後押しもあって、有料化、あるいは値上げの波は各国にも徐々に浸透しつつある。

ちなみにこの3月に、イタリア北東部の町ウーディネ(フリウリ・ヴェネツィア=ジュリア州)から、ヴェローナ経由でオーストリア国境に近いボルツァーノ(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)まで340km走行した際の普通自動車の通行料金は、30.3ユーロ、日本円でおよそ4000円と決して安くはなかった。

この距離は東名高速道路の起点から終点まで(東京IC~小牧IC)の距離とほぼ同じで、その料金7490円(通常時の普通乗用車)に比べれば半分強なので、高いことで知られる日本よりはかなり安いが、それでも以前よりはかなり高くなったという印象だった。アメリカ、イギリスなども現在は原則無料だが、ずっと無料であり続けるのかどうか、社会情勢に今後は変化の波が押し寄せる可能性がある。

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